見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2020年11月関西旅行:徳川美術館、京博、大和文華館など

 先週末の関西旅行から帰ったあとは、夜遅くまで仕事に追われる日と、ぐったりして早寝する日の繰り返しで、全然ブログの更新ができなかった。記憶が薄れないうちに、見てきた展覧会をまとめて書いておく。

徳川美術館名古屋市蓬左文庫 秋季特別展『殿さまが好んだヨーロッパ-異国へのまなざし-』(2020年9月20日~11月3日)

 殿さまたちが触れた当時最先端の「異国」の美や学問・情報へのまなざしを、尾張徳川家旧蔵コレクションを主とする書籍、古地図、染織物、機器などで紹介する。東西交流というテーマが好きな私にはとても面白かった。蓬左文庫の展示は、和漢の書籍だけでなく、望遠鏡や火縄銃の実物や大砲の模型も並んでいた。川路聖謨所用(自害にも使った)の回転式六連発リボルバーの前では粛然となった。美術館の大展示室には、これまであまり見たことのない多様な布製品をたくさん出ていた。ただ、ヨーロッパ産よりも東南アジアやインド、西アジア圏由来のものが目立った。蒙流(もうる、モールの語源とも)は初めて知った。尾張徳川家は豪華なペルシャ絨毯(産地はインド)やオランダ産の金唐革も持っているのだな。

京都国立博物館 御即位記念 特別展『皇室の名宝』(2020年10月10日~11月23日)

 徳川美術館を昼頃に出て、これは京博にも寄れそうだ、と思ったので、残り少なかった当日午後のチケットをスマホから予約。バスが遅れて焦ったものの、なんとか予約の時間帯に滑り込んだ。本展は天皇即位を記念し、宮内庁が所蔵する名品を日本の宮廷で培われた文化とともに紹介する。しかし冒頭がいきなり王羲之筆の『喪乱帖』(唐時代の搨本)や伝・賀知章筆『草書孝経』、空海や佐理の墨蹟など、中国モードが高く、後半に出ていた礼服(袞衣)・冕冠とあわせて、日本の皇室がいかに中国を憧憬していたかが分かる気がした。

 絵巻は『春日権現験記絵』の巻3(春日大社の神官を罰したため藤原忠実が病となる)、巻11(恵暁法印の夢)、巻20(明神が不在になるが、神火が空に飛んで還座が明らかになる)が出ており、巻20は小さな星のような神火の列が不気味で面白かった。初見かもしれない。ほかに『絵師草紙』『蒙古襲来絵詞』、岩佐又兵衛の『小栗判官絵巻』も。近世絵画は、若冲の『動植綵絵』4件をゆっくり見ることができた。応挙の『群獣図屏風』は、ちょっと若冲を思わせる動物たちのユートピアの図で面白かった。

大和文華館 特別展『墨の天地-中国 安徽地方の美術-』(2020年10月10日~11月15日)

 名勝・黄山で有名な山紫水明の地であるとともに、墨や硯の産地としても知られる安徽地方ゆかりの多彩な美術を紹介する。展示品78件には、京博、東博大阪市美、泉屋博物館、さらに個人蔵の珍しい作品も含まれていた。カラー図版多数の図録がすごく美しく、絵本のように楽しい。私の大好きな方士庶の『山水図冊』も12図全て載っていて、眺めていると幸せ!

あべのハルカス美術館 『奇才-江戸絵画の冒険者たち-』(2020年9月12日~ 11月8日)

 東京展に一回、大阪展の前期にも一回行ったのだが、最終週にもう一回見て来た。久しぶりに長沢芦雪の『龍虎図襖』(無量寺)を(裏面も含めて)ゆっくり見ることができて満足。