見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

情けは望ましい社会の為/現代貧乏物語(橋本健二)

○橋本健二『現代貧乏物語』 弘文堂 2016.11 冒頭の問題提起は強く共感できるものであった。2005年に「格差社会」が流行語になってから10年以上が過ぎ、貧困や格差に関する研究レベルは確実に上がり、研究の裾野も広がっている。しかし、研究が進んだだけでは…

2016年11月@関西:高麗仏画(泉屋博古館)など

■東寺(教王護国寺) 2016年秋期特別公開・灌頂院(2016年10月28日~12月4日) 週末、駆け足で見てきたもの。東寺は宝物館の『東寺の明王像』展が見たかったのだが、行ってみたら前日の金曜で会期が終わっていた。がーん。しかし、五重塔・小子房・灌頂院が…

大坂・真田丸跡を歩く

週末、関西で見たい展覧会があって行ってきた。直前に運よく取れたホテルが鶴橋駅前で、地図を見たら、少し北に「真田山」という地名があり、真田丸跡に近いと分かったので歩いてきた。 高台の上の小さな三光神社には真田幸村の銅像が立つ。人が腰をかがめて…

忍性菩薩(金沢文庫)+鎌倉meets東大寺(鎌倉国宝館)

■神奈川県立金沢文庫 生誕800年記念特別展『忍性菩薩-関東興律七五〇年-』(2016年10月28日~12月18日) 来たる2017年、東国を中心に真言律宗を広め、各地の社寺の復興に携わった忍性(1217-1303)の生誕800年を迎えることを記念する特別展。この春、奈良…

医学史と科学史と美術史/小田野直武と秋田蘭画(サントリー美術館)

○サントリー美術館 『世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画』(2016年11月16日~2017年1月9日) 噂を聞いて、ずいぶんチャレンジングな展覧会だなあと思った。こんなマイナーなテーマでお客が入るんだろうかと心配したが、立地がいいのか、そこそこ入ってい…

画の中の小宇宙/円山応挙(根津美術館)

○根津美術館 開館75周年特別展『円山応挙 「写生」を超えて』(2016年11月3日~12月18日) 考えてみると、私の中で円山応挙(1733-1795)という画家のイメージもずいぶん変わった。むかしは、全く面白くない画家だと思っていた。京博の蕭白展の名コピー「円…

慧可断臂図を見に/禅-心をかたちに-(東京国立博物館)

○東京国立博物館 特別展覧会 臨済禅師1150年、白隠禅師250年遠諱記念『禅-心をかたちに-』(2016年10月18日~11月27日) 春に京都国立博物館で見た展覧会の巡回展である。東京と京都ではかなり展示品が異なる(図録でいうと300余件中、約半数は東西1会場の…

色づく秋

展覧会シーズン真っ盛りというのに、先週と先々週は1日ずつ出勤。 この週末は久しぶりに土日ともフリーなので、今から出かけるところ。今日は雨で残念。 (写真は先週、家の近所)

中高年のひそかな愉しみ/パフェログ(越龍子)

○越龍子編集『パフェログ:目で味わう、舌で愛でる至福のパフェ・アーカイヴ』(ORANGE PAGE MOOK) オレンジページ 2016.9 若いころは、特にパフェに関心はなく、むしろ安いアイスクリームを毎日食べるほうが嬉しかった。ところが中高年になったら、芸術品…

大和国から眺めた大乱/応仁の乱(呉座勇一)

○呉座勇一『応仁の乱:戦国時代を生んだ大乱』(中公新書) 中央公論新社 2016.10 応仁の乱は、小学校の教科書にも載る「日本史上、最も有名な戦乱の一つ」でありながら、その実態はあまり知られていない。全くその通りで、私も細川勝元と山名宗全の名前が思…

書物をめぐる展覧会:第37回史料展覧会(東大史料編纂所)ほか

■東京大学史料編纂所 第37回史料展覧会(2016年11月12日~13日) おおよそ3年に一度、2日間だけ開催される史料展覧会。私は2010年の第35回以来になる(第36回は北海道にいた時期なので見逃している)。 今回は「史料を後世に伝える」がテーマで、史料の研究…

事件の波紋を考える/相模原事件とヘイトクライム(保坂展人)

○保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』(岩波ブックレット) 岩波書店 2016.11 2016年7月、神奈川県の障害者施設「津久井やまゆり園」に元職員の男性が侵入し、重度の知的障害者を次々襲い、死者19人、施設職員を含めた重軽傷者27人となる事件が起きた。…

嫌いだけど、おもしろい/中国の論理(岡本隆司)

○岡本隆司『中国の論理:歴史から解き明かす』(中公新書) 中央公論新社 2016.8 今や街の風景はすっかり現代化し、日本や欧米と何も変わらないように見える中国だが、一歩足を踏み入れると、不可解や不愉快の連続である、というのが本書のイントロダクショ…

イギリスでお茶と出会う/砂糖の歴史(川北稔)

○川北稔『砂糖の歴史』(岩波ジュニア新書) 岩波書店 1996.7 先日読んだ『銀の世界史』という新書は、全体として不満の多い内容だったが、ところどころ興味深い記述があった。その一例が、サトウキビから砂糖を製造するプランテーションに関する記述で、も…

デモクラシーの宿題/欧州複合危機(遠藤乾)

○遠藤乾『欧州複合危機:苦悶するEU、揺れる世界』(中公新書) 中央公論新社 2016.10 なんだかEUが危ないらしい。大量の難民流入、頻発するテロ事件、排外主義の台頭、そしてイギリスの離脱決定と、不穏なニュースばかりが続く。あの輝かしいヨーロッパ共同…

山下裕二先生 vs 山口晃画伯トークイベント「雪舟 vs 白隠」(東京国立博物館)

○東京国立博物館 トークイベント『雪舟 vs 白隠 達磨図に迫る』(2016年11月3日 13:30~15:00)(講師:山下裕二、山口晃) 東京国立博物館で開催中の特別展『禅 心をかたちに』の関連トークイベントを聞きに行った。山下裕二先生と山口晃さんだから、絶対面…

2016年10月@関西:正倉院展(奈良国立博物館)

○奈良国立博物館 『第68回正倉院展』(2016年10月22日~11月7日) 今年も正倉院展に行ってきた。前日の土曜日からJR奈良駅前に宿泊。翌日、ちょっと気を抜いて、朝8時頃、奈良博に到着したら、折り返し列の最後尾くらいに並ぶことになった。そして、さらに折…

週末は滋賀:つながる美・引き継ぐ心(滋賀近美)+大津の浄土宗寺院(大津歴博)

■滋賀県立近代美術館 企画展『つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館』(2016年10月8日~11月23日) 日曜日は早起きして正倉院を見て(後述)、そのあと、滋賀県に向かった。たまに関西に来たときは、見たいものから見ておくことにして…

週末は和歌山:蘆雪溌剌(和歌山県博)+城下町和歌山の絵師たち(市博)

■和歌山県立博物館 特別展『蘆雪溌剌(ろせつハツラツ)-草堂寺と紀南の至宝-』(2016年10月18日~11月23日) 奈良での仕事にかこつけて、週末は関西を周遊してきた。土曜日は、まず和歌山へ。京都の画家・長澤蘆雪(1754-1799)が、白浜町の草堂寺をはじ…

描かれた衣食住/文明開化がやって来た(林丈二)

○林丈二『文明開化がやって来た:チョビ助とめぐる明治新聞挿絵』 柏書房 2016.10 ここに開化のチョビ助あり、として明治9年の「東京絵入新聞」に登場するのは、西洋かぶれの知ったかぶりのおっちょこちょいらしい。著者は自ら知ったかぶりの「チョビ助」を…