見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2020-01-01から1年間の記事一覧

歴史の知恵に学ぶ/感染症の日本史(磯田道史)

〇磯田道史『感染症の日本史』(文春新書) 文藝春秋 2020.9 雑誌『文芸春秋』2020年5~10月号に連載された同名のエッセイに、書き下ろしその他の原稿を加え、再構成したものだという。新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされたこの一年、「歴史学が世の…

未来への可能性/民主主義とは何か(宇野重規)

〇宇野重規『民主主義とは何か』(講談社現代新書) 講談社 2020.10 民主主義という言葉には、古代ギリシア以来、2500年以上の歴史があるから、意味する内容が歴史の中で変化したり、矛盾する意味が込められていてもおかしくない。本書は「民主主義とは何か…

理想とカリカチュア/KING&QUEEN展(上野の森美術館)

〇上野の森美術館 ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵『KING&QUEEN展-名画で読み解く英国王室物語-』(2020年10月10日〜2021年1月11日) 肖像専門美術館ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーより、テューダー朝から現在のウィンザ…

2020行かれなかった展覧会+『故事宮寓』

異例の年だった2020年がもうすぐ終わる。まだ年内に1つくらい展覧会を見に行けるかもしれないが、行かれなかった展覧会のことを書き留めておく。 ■MIHOミュージアム 秋季特別展『MIHO MUSEUMコレクションの形成-日本絵画を中心に-』(2020年9月1日~12月13…

一千年の友情/中華ドラマ『棋魂』

〇『棋魂』全36集(愛奇藝、2020) 10月27日にネットで配信が開始されてすぐ、中国でも日本の原作ファンの間でも大好評の噂が流れてきたので見てみた。そうしたら本当に素晴らしい作品で、ちょっとまだ語る言葉に困っている。 原作は1999年から2003年まで「…

年末の東博常設展と特集いくつか

■東京国立博物館・平成館企画展示室 特集『世界と出会った江戸美術』(2020年11月25日~2021年1月11日) 東博は12月26日(土)から休館なので、たぶん年内最後になるだろうと思いながら、常設展示といくつかの特集展示を見に行った。本展は、海外への自由な…

実業家一代/明治のたばこ王 村井吉兵衛(たばこと塩の博物館)

〇たばこと塩の博物館 特別展『明治のたばこ王 村井吉兵衛』(2020年10月31日~2021年1月24日) 久しぶりに同館らしい企画だと思って見に行った。村井吉兵衛(1864-1926)京都のたばこ商の家に生まれ、実兄らとともに「村井兄弟商会」を設立し、アメリカの技…

交流の賜物/美を結ぶ。美をひらく。(サントリー美術館)

〇サントリー美術館 リニューアル・オープン記念展III『美を結ぶ。美をひらく。:美の交流が生んだ6つの物語』(2020年12月16日~2021年2月28日) 開催趣旨によれば、同館は、2007年3月、六本木の東京ミッドタウンに移転開館して以来「美を結ぶ。美をひらく…

本郷菊坂で師走のフレンチ

先週、職場の友人と二人で久しぶりに会食。本郷菊坂にあるプティット メゾン ド アリー(Petite maison de Harry)という家庭的なフレンチのお店で。 料理の写真がちょうどクリスマスカラーになった。 友人の記憶では、むかし、この場所にあった別のレストラ…

東アジアの共有財産/東アジア仏教への扉(金沢文庫)

〇神奈川県立金沢文庫 開館90周年記念特別展『東アジア仏教への扉』(2020年12月4日~2021年1月31日) 開館90周年を記念して、同館が調査し公開してきた称名寺の名品の数々をとおして、東アジアで展開した仏教の様子を一望し、金沢文庫の収蔵品が持つ世界に…

生の筆づかい/河鍋暁斎の底力(東京ステーションギャラリー)

〇東京ステーションギャラリー 『河鍋暁斎の底力』(2020年11月28日~2021年2月7日) 河鍋暁斎の作品のうち、本画(彩色を施した完成作品)や版画は一切展示せず、素描、下絵、画稿、席画、絵手本など、暁斎の生の筆づかいが感じられる作品ばかりを集めた展…

クリスマスリース2020

先々週末、まだ11月というのに、いつもの花屋さんにリースを買いに行った。まだあまり飾られていなくて、女性店主は「これから作るんですよ、のんびりしてるから」と笑っていたけど、少ないチョイスの中で気に入ったものを買ってきた。 去年の今頃は、来たる…

指定文化財全公開/根津美術館の国宝・重要文化財(根津美術館)

〇根津美術館 財団創立80周年記念特別展『根津美術館の国宝・重要文化財』(2020年11月14日~12月20日) 展覧会のタイトルが、あまりにも「そのまま」なので笑ってしまったが、ほんとにタイトルどおりの展示ですごかった。根津美術館は1941年の開館だが、初…

まだ終わらない物語/中華ドラマ『将夜2』

〇『将夜2』全43集(騰訊視頻、2020) 2018年に制作・放映されたファンタジー古装劇『将夜』の第2季。第1季を今年の夏に見て、面白いところもあるけど、なんだか煮え切らない終わり方だったので、続きを見てみた。主人公の青年・寧缺は、幼い頃に両親を失い…

模刻・復元と遊び/籔内佐斗司退任記念展(東京芸大美術館)

〇東京藝術大学大学美術館 籔内佐斗司退任記念展『私が伝えたかったこと-文化財保存学保存修復彫刻研究室2004-2020の歩み-』(2020年11月19日~11月29日) 先週、駆け込みで見に行ったもの。彫刻家・芸大教授の籔内佐斗司氏(1953-)の退任記念展。地階の2…

和歌山のグリーンソフト

三連休に和歌山に旅行したとき、コンビニで甘いものでも買ってホテルに戻ろうとして、このアイスを見つけた。たちまち記憶がよみがえる。甲斐みのりさんの『アイスの旅』に載っていたグリーンソフトだ!いや、正確には、私は何度か和歌山に来ているので、こ…

王様と政治家/悪党たちの大英帝国(君塚直隆)

〇君塚直隆『悪党たちの大英帝国』(新潮選書) 新潮社 2020.8 大英帝国を築いた「悪党」7人の生涯を紹介する。本書でいう「悪党」とは、日本中世史に登場する「悪党」のような(おお!)アウトサイダーを意味する。7人は、王様であったり首相であったり、普…

2020年11月関西旅行:紀三井寺展(和歌山市博)+紀三井寺

■和歌山市立博物館 創建1250年・日本遺産認定記念特別展『紀三井寺展』(2020年10月31日~12月13日) 和歌山市内に1泊し、翌日は朝9時開館の和歌山市立博物館からスタート。こじんまりした施設だが、地域に密着した面白い展示をしてくれる博物館である。宝亀…

2020年11月関西旅行:国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史(和歌山県博)+粉河寺

■和歌山県立博物館 創建1250年記念特別展『国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史』(2020年10月17日~11月23日) 先週末、行ってきた展覧会。国宝『粉河寺縁起』をはじめ、連綿と制作され続けた粉河寺のさまざまな縁起絵巻や縁起絵の数々を展示するとともに、かつて…

2020年11月関西旅行:天平礼賛(大阪市立美術館)

〇大阪市立美術館 特別展『天平礼賛』(2020年10月27日~12月13日) 連休初日は大阪文楽劇場の正面の東横インに初めて泊まった。翌日は和歌山に直行の予定だったが、実は大阪でもうひとつ行きたい展覧会があり、いろいろ考えた結果、2日目の朝に行ってしまう…

2020年11月関西旅行:聖徳太子(中之島香雪美術館)

〇中之島香雪美術館 聖徳太子像・聖徳太子絵伝 修理完成記念特別展『聖徳太子-時空をつなぐものがたり-』(2020年10月31日~12月13日) 今月二度目の週末関西旅行。最大の目的は、後述のとおり和歌山にあったのだが、時間があれば見ておきたい展覧会が大阪…

名作は何度でも/文楽・新版歌祭文、本朝二十四孝、他

〇国立文楽劇場 令和2年錦秋文楽公演(2020年11月21日、14:00~、18:00~) ・第2部『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)・野崎村の段』 好きな作品は何度聴いてもよいものだが、今年2月に東京国立劇場の公演でも聴いていたことを実はすっかり忘れていた。…

窓の外・晩秋

窓の外のサクラの葉がだいぶ落ちて見通しがよくなった。窓が東南に向いているので、色づいた葉を透かすように朝日が昇って来る時刻がとてもきれい。 先月は、なぜか久しぶりに膝痛が発症して行動能力をせばめられ、 今月は、イベントが多くて持ち帰り仕事に…

KING&QUEEN展の予習/王様でたどるイギリス史(池上俊一)

〇池上俊一『王様でたどるイギリス史』(岩波ジュニア新書) 岩波書店 2017.2 上野の森美術館で始まっているロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵『KING&QUEEN展』に行こうと思って、『芸術新潮』10月号「特集・名画は語る!王と女王の英国史」…

性差と性を考える/性差(ジェンダー)の日本史(歴博)

〇国立歴史民俗博物館 企画展示『性差(ジェンダー)の日本史』(2020年10月6日~12月6日) オンライン事前予約を忘れて現地に行ってしまったのだが、幸い空きがあって、すぐ入場することができた。本展は、ジェンダーが日本社会の歴史のなかでどんな意味を…

橋と水路の町/江戸の土木(太田記念美術館)

〇太田記念美術館 『江戸の土木』(2020年10月10日~11月8日) 絶対面白いだろうと思っていた展覧会、最終日に滑り込みで見てきた。本展のテーマは「浮世絵から読み解く、江戸の土木」である。土木とは、道路や河川、橋梁、港湾などを造る建設工事のこと。東…

蓬左文庫旧書庫を見る

名古屋市蓬左文庫と徳川美術館は建物が連結しているので、美術館を参観すると、自動的に蓬左文庫の展示室がルートに組み込まれている。それは知っていたのだが、美術館の右手にある建物、蓬左文庫自体を訪ねたことはなかった。先立って、美術館の帰りがけに…

2020年11月関西旅行:徳川美術館、京博、大和文華館など

先週末の関西旅行から帰ったあとは、夜遅くまで仕事に追われる日と、ぐったりして早寝する日の繰り返しで、全然ブログの更新ができなかった。記憶が薄れないうちに、見てきた展覧会をまとめて書いておく。 ■徳川美術館+名古屋市蓬左文庫 秋季特別展『殿さま…

2020年11月関西旅行:正倉院展(奈良国立博物館)

〇奈良国立博物館 『第72回正倉院展』(2020年10月24日~11月9日) 新型コロナの影響で、さまざまなイベント・展覧会が中止・延期になる中、今年の正倉院展はどうなるのか、ずっとヤキモキしていた。9月の半ばくらいだったと思うが、奈良博から「プレミアム…

喫茶店は楽しい(上野・門前仲町)

チェーン店でない街の喫茶店は、なんとなく敬遠していた時期があった。入ってみないとメニューが分からないし、注文したものがすぐ出てこないことがあるし、店主が偏屈かもしれないなど。考えてみると、中央線沿線のおしゃれ喫茶店のイメージだったかもしれ…