見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

王朝武者、奮戦す/刀伊の入寇(関幸彦)

〇関幸彦『刀伊の入寇:平安時代、最大の対外危機』(中公新書) 中央公論新社 2021.8 刀伊(とい)の入寇とは、摂関時代の寛仁3年(1019)、中国東北部の女真族が、壱岐・対馬そして北九州に来襲した事件である。「教科書にも簡略ながら記載がある」という…

二人の偉人の再評価/孫文と陳独秀(横山宏章)

〇横山宏章『孫文と陳独秀:現代中国への二つの道』(平凡社新書) 平凡社 2017.2 中国ドラマ『覚醒年代』に触発されて、まだ関連書を漁っている。本書は、中国近代史に大きな足跡を残した、思想家にして革命家、孫文(1866-1925)と陳独秀(1879-1942)の二…

思い出の2003年版と比較/中華ドラマ『天龍八部』(2021年版)

〇『天龍八部』全50集(企鵝影視、新麗伝媒等、2021) 原作は、何度も映像化されている金庸の武侠小説。時代は北宋。宋の周辺には、女真(のちの金)、契丹(遼)、西夏、大理などの諸民族・諸王朝が勃興していた。大理国の皇帝の甥・段誉、契丹人でありなが…

2021年9月@関西:きのくにの宗教美術(和歌山県立博物館)

〇和歌山県立博物館 企画展『きのくにの宗教美術-神仏のさまざまな姿-』(2021年8月28日~10月3日) 奈良を大和文華館だけで切り上げて、近鉄→南海で和歌山へ移動。もうひとつ見たかった展覧会に寄っていく。本展は、これまで県内各地で国宝・重寺社・堂祠…

2021年9月@関西:祈りと救いの仏教美術(大和文華館)

〇大和文華館 『祈りと救いの仏教美術』(2021年8月27日~10月3日) 連休3日目(旅行2日目)は、京都を離れ、奈良の大和文華館へ。今回は、とにかく見たい展覧会だけをピックアップする旅行なのである。本展は、この国の風土に根付き、長い間、人々の祈りを…

2021年9月@関西:山口晃展(ZENBI鍵善良房)

〇ZENBI鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM 開館記念特別展『山口晃-ちこちこ小間ごと-』(2021年7月6日~11月7日) 鍵善良房は四条通りにある老舗の和菓子屋さん。私は、高校の修学旅行の自由行動で、京都通の友人に連れていかれたのが最初で、以来40年のごひい…

2021年9月@関西:『京のファンタジスタ』の江戸絵画

〇福田美術館×嵯峨嵐山文華館『京(みやこ)のファンタジスタ~若冲と同時代の画家たち』(2021年7月17日~10月10日) 承天閣美術館から嵐山へ移動。嵐山は2012年以来、9年ぶりである。前回も嵐電嵐山駅まわりの急激な「観光地化」に驚いたが、今回はさらに…

2021年9月@関西:相国寺で若冲墓にお参り

〇相国寺承天閣美術館 『若冲と近世絵画展』(I期:2021年4月29日~7月25日/II期:8月1日~10月24日) 7月の四連休に関西に出かけたときは、次回は8月末か9月前半のつもりだった。ところが、新型コロナの感染拡大で、京博や奈良博の再訪もかなわず、今後の…

太子信仰とともに/天王寺舞楽(国立劇場)

〇国立劇場 第88回雅楽公演・国立劇場開場55周年記念・聖徳太子千四百年御聖忌『天王寺舞楽』(2021年9月18日、14:00~) 久しぶりに舞楽を見てきた。調べたら、2017年2月に国立劇場で行われた宮内庁式部職楽部の公演以来、4年半ぶりである。今回は、本年が…

地域の文化財/浮世絵をうる・つくる・みる(日比谷図書文化館)

〇日比谷図書文化館 特別展『紀伊国屋三谷家コレクション 浮世絵をうる・つくる・みる』(2021年7月17日~9月19日) 現在、週2出勤+週3在宅の生活を継続中である。7-8月の在宅勤務日は、暑さに耐えきれなくて、公共図書館に逃げ込むことが多かった。パソコ…

過去と対話する街/特集・上野の杜の記憶(雑誌・東京人)

〇『東京人』2021年10月号「特集・上野の杜の記憶」 都市出版 2021.10 ときどき気になる特集を企画する雑誌だが、久しぶりに購入して、舐めるように読み尽くした。上野は、幕末、彰義隊と新政府軍の血戦の場となり、その後「徳川の世」の記憶を消し去るかの…

優美と豪快/桃山の華(五島美術館)

〇五島美術館 館蔵・秋の優品展『桃山の華』(2021年8月28日~10月17日) 絵画、書、工芸、古典籍など、時代の美意識を映した華やかな名品の数々を紹介。展示室に入ってすぐ目に入るのが、『秋草蒔絵文箱』と『古伊賀水指(銘:破袋)』。前者は、箸箱(筆箱…

稿本・模本で楽しむ/人をえがく(根津美術館)

〇根津美術館 企画展『はじめての古美術鑑賞-人をえがく-』(2021年9月11日~10月17日) 古美術の見どころを分かりやすく解説する展覧会「はじめての古美術鑑賞」シリーズの5回目。今回は、さまざまなジャンルにわたる人物画をとりあげる。個人蔵や他館か…

訳詩と創作/森鴎外の百首(坂井修一)

〇坂井修一『森鴎外の百首』(歌人入門) ふらんす堂 2021.8 森鴎外の詩歌百首を選び、200~250字くらいの短い鑑賞文を付したもの。短歌だけではなく、訳詩、創作詩も含む。ただし長いものは、短歌と同程度の数行が抽出されている。年代順に『於母影』(1889…

門前仲町グルメ散歩:台湾を味わう

永代通りに「純生カステラ キミとホイップ」というお店がオープンした。公式サイトには「台湾」の文字はないようだが、いくつかのネット記事には「台湾カステラ」「台湾・淡水が発祥の台湾スイーツ」と紹介されている。 最後に淡水に行ったのは2018年12月で…

ボカシと移行期の多様性/日本の先史時代(藤尾慎一郎)

〇藤尾慎一郎『日本の先史時代:旧石器・縄文・弥生・古墳時代を読みなおす』(中公新書) 中央公論新社 2021.8 私の場合、日本の歴史で一番興味がないのが先史時代である。博物館に行っても、だいたい先史時代をすっ飛ばすのだが、たまにはいいかなと思って…

東京長浜観音堂(日本橋)を見に行く

〇東京長浜観音堂 『聖観音立像(長浜市南郷町)』(2021年​7月10日~9月12日) 上野の不忍池の東畔で、4年半にわたって観音像の展示をおこなってきた「びわ湖長浜KANNON HOUSE」が閉館して半年あまり。その後継施設が日本橋にオープンしたという情報を得た…

美しい日常の再発見/前川千帆展+江戸絵画と笑おう(千葉市美術館)

■千葉市美術館 企画展『平木コレクションによる前川千帆展』(2021年7月13日~9月20日) 前川千帆(まえかわせんぱん、1888-1960)は、恩地孝四郎・平塚運一とともに「御三家」と称された、近代日本を代表する創作版画家だという。実は全く知らなくて、この…

江戸時代の天文資料(大阪市立科学館オンライン講座)お試し視聴

〇大阪市立科学館 連続オンライン講座 第1回『科学館にある江戸時代の天文資料を詳しく紹介』(講師:嘉数次人、2021年9月4日、10:30~) 大阪市立科学館では、学芸員が、それぞれの専門分野や同館の資料、あるいはタイムリーな話題などについて話す連続オン…

名家の組織改革/三野村利左衛門と益田孝(森田貴子)

〇森田貴子『三野村利左衛門と益田孝:三井財閥の礎を築いた人びと』(日本史リブレット 人) 山川出版社 2011.11 今年の大河ドラマ『青天を衝け』を面白く見ている。これまでのところ、だいたい知っている登場人物ばかりだったが、先日8月22日に登場した三…