見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

関西・秋の文化財めぐり(3):興福寺の板彫十二神将

○興福寺 『国宝特別公開 2006』 http://www.kohfukuji.com/kohfukuji/index.html 奈良の興福寺が、毎年、時期限定の「特別公開」を行うようになったのはいつからだったろう? 調べてみようと思ったら、ちゃんと上記サイトに「興福寺年表」が用意されていて、…

関西・秋の文化財めぐり(2):仏教美術の名品

○奈良国立博物館 平常展『仏教美術の名品』 http://www.narahaku.go.jp/ 正倉院展(承前)を見終わったあとは、いつものように本館を通り抜けて外に出るつもりだった。 本館に入って、おやと立ち尽くした。いない――そうだ、もういらっしゃらないのだった。唐…

関西・秋の文化財めぐり(1):正倉院展

○奈良国立博物館 特別展『第58回 正倉院展』 http://www.narahaku.go.jp/ 正倉院展には、5年連続の皆勤である。金曜の夜、新宿発の夜行バスを利用して、早朝、京都に到着。近鉄の車内で少し眠り足して奈良へ、というのが、恒例のパターンだった。ところが、…

サクセス?ストーリー/近代日本の誕生(イアン・ブルマ)

○イアン・ブルマ『近代日本の誕生』(クロノス選書) ランダムハウス講談社 2006.10 たまたま寄った神田の三省堂で、新創刊らしい叢書を見つけた。知らない名前の著者だったが、装丁がきれいだったので買ってしまった。そして、4ページほどの「日本語版への…

お薬師さま、日本海を渡る/新潟県立近代美術館

○新潟県立近代美術館 企画展『新潟の仏像展』 http://www.lalanet.gr.jp/kinbi/ この秋は、東京国立博物館の特別展『仏像』展に触発されたわけでもないだろうが、仏像の企画展が多い。山梨県立博物館の『祈りのかたち 甲斐の信仰』、神奈川県立金沢文庫の『…

そして、検索する喜び/検索エンジン「想」ほか

■ITmedia News:書籍や文化財、Wikipediaを横断検索できる「想」(2006/07/28) http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/28/news075.html いささか旧聞に属するが、松岡正剛さんの本を紹介したついでに書いておこう。この夏、松岡正剛さんの書評サイト…

編集する喜び/日本という方法(松岡正剛)

○松岡正剛『日本という方法:おもかげ・うつろいの文化』(NHKブックス) 日本放送出版協会 2006.9 はっきり言っておくが、最近、巷間にあふれる日本国家論は、どれもこれも気に入らない。立論の基礎となる日本文化の理解が、あまりにも貧弱だからだ。自分の…

排除の恐怖、同化の欲望/レイシズム(小森陽一)

○小森陽一『レイシズム』(思考のフロンティア) 岩波書店 2006.5 はじめて本書を見たときは、なぜ、いまさらレイシズム(人種差別主義)? なにゆえ小森陽一さん?という驚きと違和感を感じた。しかし、読んでいくうちに、ああ、これは著者でなければ語れな…

楽家の赤茶碗・黒茶碗/三井記念美術館

○三井記念美術館 開館1周年記念特別展『赤と黒の芸術 楽茶碗』 http://www.mitsui-museum.jp/ 天正年間、千利休の創意を受けて、初代長次郎が造りはじめた「楽茶碗」の作陶を、今日に継承する京都の楽家。長次郎から十五代(現当主)楽吉左衞門までの代表作…

宝物公開・吉祥天と弁財天/薬師寺東京別院

○薬師寺東京別院 秋の宝物特別公開『佛教の二人の女神-吉祥天と弁財天』 http://www.yakushiji.or.jp/index2.html 五反田の薬師寺東京別院には、平成15年(2003)に一度だけ行ったことがある。落慶法要に合わせて、国宝・吉祥天画像(薬師寺蔵)が公開され…

キリスト者の末裔/愛国の作法(姜尚中)

○姜尚中『愛国の作法』(朝日選書) 朝日新聞社 2006.10 「本書のようなタイトルで新書を書くことになろうとは、10年前には想像もしなかった」と、著者はあとがきで述べている。確かにその頃、もっと愛国心を、という意見は、チラホラ世に出始めてはいたが、…

我らが師父、アンリ・ルソー/世田谷美術館

○世田谷美術館 開館20周年記念企画展『ルソーの見た夢、ルソーに見る夢~アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに魅せられた日本人美術家たち』 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/ 私もむかしは普通の美術ファンで、「泰西名画」の展覧会には欠かさず通っていた…

飼い慣らされる主体/インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?(森健)

○森健『インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?:情報化がもたらした「リスクヘッジ」社会の行方』 アスペクト 2005.9 『グーグル・アマゾン化する社会』に続いて、森健さんの本2冊目。本書の存在に気づいたのは、ずいぶん前のことだったと思う。しかし、…

史料は語る・明治宰相列伝/国立公文書館

○国立公文書館 秋の特別展『明治宰相列伝』 http://www.archives.go.jp/event/haru_aki/06aki.html 明治期に在任した宰相(内閣総理大臣)は、全部で17人(14代)。彼らの閲歴と業績を通じて、近代国家として体制を急速に整えていった明治日本の姿を映し出す…

鉄炮伝来/国立歴史民俗博物館

○国立歴史民俗博物館 企画展示『歴史のなかの鉄炮伝来-種子島から戊辰戦争まで-』 http://www.rekihaku.ac.jp/ 1543(天文12)年の鉄炮伝来から1868(明治元)年の戊辰戦争まで、3世紀にわたって独自の発達を遂げた、日本の鉄砲(鉄炮)の鋳造・射撃技術を…

統制と抜け道/メディア・ナショナリズムのゆくえ(大石裕)

○大石裕、山本信人編著『メディア・ナショナリズムのゆくえ:「日中摩擦」を検証する』(朝日選書) 朝日新聞社 2006.10 2005年4月に中国で発生した激しい反日デモと、その前後のメディアの反応を検証したもの。日本のマスメディア(新聞、テレビ)のほか、…

中国絵画二題/畠山記念館・東博

■畠山記念館 秋季展『中国宋元画の精華-夏珪、牧谿、梁楷-日本人が愛した伝来の絵画』 http://www.ebara.co.jp/socialactivity/hatakeyama/index.html 畠山美術館には、通い始めて間がないので、まだ収蔵品をよく知らないのだが、今回は、ヘンな作品が多く…

研究史の森/謎解き伴大納言絵巻(黒田日出男)

○黒田日出男『謎解き伴大納言絵巻』 小学館 2002.7 黒田先生の絵画資料論とは、『姿としぐさの中世史』(イメージ・リーディング叢書、平凡社 1986)の頃からのおつきあいである。昨年出された『吉備大臣入唐絵巻の謎』も非常に感銘深かった。 しかし、私は…

名優揃い!伴大納言絵巻/出光美術館

○出光美術館『国宝 伴大納言絵巻展-新たな発見、深まる謎-』 http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/index.html 久々に上中下巻揃っての全場面展示である。このかたちで最後に見たのはいつだったかしら。もう20年くらい前のことではないかと思う。実は…

一極集中の論理/グーグル・アマゾン化する社会(森健)

○森健『グーグル・アマゾン化する社会』(光文社新書)光文社 2006.9 最近、新刊書(特に新書)の棚で、グーグルやアマゾンを話題にした本が目につくなあ、とは思っていた。だが、Webは使うものであって語るものじゃない、と思っていたので、食指を動かす気…

京極堂で一服/邪魅の雫(京極夏彦)

○京極夏彦『邪魅の雫』(講談社ノベルス) 講談社 2006.9 このところ、学術書が続いたので、少し頭がほぐれるようなものが読みたいと思った。そこで、ちょうど書店に積んであった本書を手に取った。 読後感は、まあまあだった。軽く読むには、人物配置が、ち…

清朝陶磁の精華/静嘉堂文庫美術館

○静嘉堂文庫美術館 『インペリアル・ポースレン・オブ・清朝(チン)-華麗なる宮廷磁器』 http://www.seikado.or.jp/ 『インペリアル・ポースレン・オブ・清朝(チン)=Imperial Porcelain of Qing』は、訳してしまえば「清の宮廷磁器」。何の含みもない題…

多文化帝国の終わり/清帝国とチベット問題(平野聡)

○平野聡『清帝国とチベット問題:多民族統合の成立と瓦解』 名古屋大学出版会 2004.7 「中国政府とチベット」が、シリアスでデリケートな問題であることくらいは知っている。ただし、正直なところ、きちんと事実を見極めようと思ったことはない。面倒がって…

大和文華館のヒガンバナ

大和文華館の門を入って建物に至る歩道を飾る、紅白のヒガンバナ。 毎年、この時期は、鎌倉・鶴岡八幡宮の隅にあるヒガンバナの群落が気になる。花盛りが短いので、週末ごとに偵察に行っても、なかなか見頃に当たらない。今年は、関西で絶好の風景を見ること…

秘仏と書画の旅(3):文人たちの東アジア

○大和文華館 『文人たちの東アジア-詩書画がつなぐ中国・朝鮮・日本-』 http://www.kintetsu.jp/kouhou/yamato/index.html 東アジア文人の書法と絵画を、国際性と交流の視点から見直すという展覧会である。中国・朝鮮・日本の作品を中心に、少数だが、沖縄…