見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

隠れた絶景/タモリのTOKYO坂道美学入門(タモリ)

○タモリ文、写真『タモリのTOKYO坂道美学入門』 講談社 2004.10 昨年のゴールデンウィークだったか、秋の行楽シーズン前だったか、たまたま新宿の書店で本書を見た。2004年刊行だから、けっこう古い本だが、私は知らなかった。そのときは、いったん買い控え…

極上のアクション/映画・孫文の義士団

○ピーター・チャン制作/テディ・チャン監督『孫文の義士団』(シネマスクエアとうきゅう) 気になっていた映画をようやく見ることができた。2009年、中国では、建国60周年を記念し、大作映画の制作が相次いだ中で、いちばん見たかった作品である。原題の『…

始原へ遡る/建築史的モンダイ(藤森照信)

○藤森照信『建築史的モンダイ』(ちくま新書) 筑摩書房 2008.9 いや相変わらず面白いなあ、藤森先生。もともと近代建築史が専門だった著者が、日本の近世や中世の古建築についてコメントしていることには気づいていたが、いつの間にか、中世ヨーロッパ建築…

西から東へ/冒険商人シャルダン(羽田正)

○羽田正『冒険商人シャルダン』(講談社学術文庫) 講談社 2010.11 1643年、フランスのパリに生まれたジャン・シャルダンは、若くしてペルシア、インドを商用で2度旅し、ヨーロッパに帰還後、浩瀚なペルシア旅行記を出版した。しかし、この人の名前を知る日…

新顔多数/鎌倉の至宝(鎌倉国宝館)

○鎌倉国宝館 特別展『鎌倉の至宝-国宝・重要文化財-』(2011年4月21日~5月29日) ゴールデンウィーク恒例の『鎌倉の至宝』展。だいたい、出るものは決まっているので、このところ少しサボっていた。今年は建長寺の仏画『白衣観音図』(元代)が修理後初公…

能登から鶴見/總持寺 名宝100選(神奈川県立歴史博物館)

○神奈川県立歴史博物館 御移転100年記念 能登から鶴見の地へ 特別展『曹洞宗大本山總持寺 名宝100選』(2011年4月16日~5月22日 鶴見の總持寺(総持寺)へは、10年以上前に一度だけ行ったことがある。知人の家族の葬儀に参列するためだった。予想を超えて巨…

水になじむ墨/国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱(畠山記念館)

○畠山記念館 春季展『国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱-伝えられた日本の美-』(2011年4月9日~6月19日) 題名のとおり、本展の見どころは、藤原佐理筆『離洛帖』(4/9~24,5/24~6/19展示)と『蝶螺鈿蒔絵手箱』(5/14~6/5)の2件の国宝である。ただし、2件…

墨色の美学/空海からのおくりもの(印刷博物館)

○印刷博物館 企画展示『空海からのおくりもの 高野山の書庫の扉をひらく』(2011年4月23日~2011年7月18日) 刷りもの・書きもの好きには堪らない展覧会が始まったので、さっそく見てきた。展示室の入口は「高」「野」「山」の文字を掲げた真っ赤なゲート。…

2011東京の桜(備忘録)

東京都内は、思いのほかサクラの木が多い。しかも老成した枝ぶりと個性的なロケーションが随所で楽しめる。 昨年のこの時期は、引っ越しと職場の変化で落ち着かなかった。今年は、世間の空気は落ち着かないが、自分の生活にはあまり変化がなかったのと、寒さ…

成熟対談/戦争と日本人(加藤陽子、佐高信)

○加藤陽子、佐高信『戦争と日本人:テロリズムの子どもたちへ』(角川oneテーマ21) 角川書店 2011.2 冒頭に加藤陽子さんが「副題の意味するものは」という解説を書いている。西郷隆盛を推戴して西南の役を起こした少壮士族たちを、勝海舟は和歌の中で「子供…

築島物語+浦島絵巻に会いに/日本民藝館名品展(日本民藝館)

○日本民藝館 特別展 開館75周年記念『日本民藝館名品展』(2011年4月5日~6月26日) 日本民藝館は、いつも正面の引き戸を開けて、玄関ホールを目にする瞬間が楽しみでしかたない。開館75周年記念の名品展で、ここに何を持ってくるのだろう?と考えていた。開…

屏風と扇面図/国宝 燕子花図屏風2011(根津美術館)

○根津美術館 コレクション展『国宝 燕子花図屏風 2011』(2011年4月16日~5月15日) 東日本大震災の影響で、首都圏でも、いくつかの展覧会が中止・延期になった。理由のひとつは、海外の美術館などから、作品の貸出を断られたためだという。根津美術館でも、…

古写真と芸術写真/知られざる日本写真開拓史:四国・九州・沖縄編(写美)ほか

○東京都写真美術館 『夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史:四国・九州・沖縄編』(2011年3月8日~5月8日) 古写真に興味があるので、このシリーズは毎回見に行っている。「I.関東編」が2007年、「II.中部・近畿・中国地方編」が(書き落としているけど)20…

ゆるくて、かわいい/日本の素朴絵(矢島新)

○矢島新『日本の素朴絵』 ピエ・ブックス 2011.3 書店で見つけて、思わず動揺してしまうくらい、うれしい本が出た。日本の絵画史の上で、なぜか時代を超えて引き継がれ、人々に愛されてきた「素朴絵」の系譜を、豊富なビジュアルでたどった1冊である。解説は…

地域社会の記憶/鉄道ひとつばなし3(原武史)

○原武史『鉄道ひとつばなし3』(講談社現代新書) 講談社 2011.3 通常のカバーの上に、さらに表紙の3分の2以上を覆う写真入りのオビをつけて「累計10万部突破!大人気シリーズ待望の最新刊/孤高の鉄学者は何を見たか」と謳っている。この数年、鉄道ブームが…

江戸の面影/蘆江怪談集(平山蘆江)

○平山蘆江『蘆江怪談集』(ウェッジ文庫) ウェッジ 2009.10 丸善本店の松丸本舗で見つけた1冊。蘆江? 聞いたことがあるような、ないような。都新聞の花柳・演芸欄を担当した粋人記者であるという。その名前の古めかしさと、和田誠さんの装丁の洒脱さ(愛ら…

阪神大震災から考える/歴史への問い/現在への問い(大門正克)

○大門正克『歴史への問い/現在への問い』 校倉書房 2008.3 最初に本書との「出会い」を書いておきたい。2011年3月11日に起きた東日本大震災。東京は、その翌週から節電の取り組みが始まり、鉄道は間引き運転、店はどこも早じまいとなった。おかげで、通勤帰…

歴史資料のウラとオモテ/貴重資料展I 歴史と物語(国立公文書館)

○国立公文書館 平成23年度春の特別展『国立公文書館創立40周年記念貴重資料展I 歴史と物語』(2011年4月2日~4月21日) 恒例の春の特別展。今年は、国立公文書館創立40周年の記念展だというので、貴重書が揃うことは予測できたが、逆に総花的すぎて、面白く…

洒落者たちの19世紀/グランヴィル(練馬区立美術館)

○練馬区立美術館 鹿島茂コレクション1『グランヴィル-19世紀フランス幻想版画展』(2011年2月23日~4月10日) 震災の影響と年度末のゴタゴタに取り紛れて、行き逃すところだったが、臨時休館分を補って、会期を1週間延長してくれたおかげで、行くことができ…

日本の隠れ里から/白洲正子 神と仏、自然への祈り(世田谷美術館)

○世田谷美術館 『白洲正子 神と仏、自然への祈り-生誕100年特別展 世田谷美術館開館25周年記念』(2011年3月19日~5月8日) 桜が咲き始めてから行こうと思っていたのだが、先週、『NHK日曜美術館』が白洲正子展を取り上げていた。うわあ、こんなに仏像や神…

読解から創作まで/絵巻で読む中世(五味文彦)

○五味文彦『絵巻で読む中世』(ちくま学芸文庫) 筑摩書房新社 2005.8 1994年10月、ちくま新書の1冊として刊行されたものの文庫版。はじめに概論的に『鳥獣人物戯画』と『年中行事絵巻』の2作品を論じ、『伴大納言絵巻』と『信貴山縁起絵巻』は各巻1章をあて…

現実はゆっくり変わる/メディアと日本人(橋元良明)

○橋元良明『メディアと日本人:変わりゆく日常』(岩波新書) 岩波書店 2011.3 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生以来、メディアについて考えることが多かった。動画サイトでは、衝撃的な動画を何度も見た。出所はさまざまだったが、もとをたどれば、…

二番手のおもしろさ/夢に挑む コレクションの軌跡(サントリー美術館)

○サントリー美術館 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』「I 夢に挑む コレクションの軌跡」展(2011年3月26日~5月22日) サントリー美術館の開館50周年を記念する展覧会シリーズその1。同館は、1961年に東京・丸の内に開館して以来、1975年の赤坂見附…

絶賛!NHK土曜ドラマ『TAROの塔』

○NHK土曜ドラマ『TAROの塔』(2011年2月26日~4月2日、全4回) テレビドラマはあまり見ないのだが、年に1作くらいは良作にあたることがある。この作品は、岡本太郎とその両親(かの子、一平)に関心があったこと、万博の1970年という時代に興味があったこと…

ブサイク好み/江戸の人物画(府中市美術館)

○府中市美術館 企画展『江戸の人物画-姿の美、力、奇』(前期:2011年3月25日~4月17日) 東北地方太平洋沖地震の影響で、首都圏の美術館・博物館も多くが休館を余儀なくされていたが、先週末あたりから少しずつ開き始めた。 同展は、これまで「百花の絵」…