見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

大東急のアーカイブ/伝えゆく典籍の至宝(五島美術館)

○五島美術館 大東急記念文庫創立60周年記念特別展『伝えゆく典籍の至宝』(2009年10月24日~11月29日) 五島美術館で書籍の展覧会と聞いて、めずらしい、と思った。同美術館の構内にある大東急記念文庫が『大東急記念文庫善本叢刊』という、大部なシリーズを…

次ぐをもて家とす/観世家のアーカイブ(東大駒場博物館)

○東京大学駒場博物館 特別展『観世家のアーカイブ―世阿弥直筆本と能楽テクストの世界―』(2009年10月10日~11月29日) この日は、冷泉家から観世家へハシゴ。東大駒場キャンパスの博物館では、観阿弥、世阿弥を家祖とする観世家に伝わる能楽関係資料の展覧会…

扉を開くアーカイブズ/冷泉家 王朝の和歌守展(東京都美術館)

○東京都美術館 『冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展』(前期:2009年10月24日~11月23日) この秋、なぜか東京では、文書・典籍(アーカイブズ)にまつわる展覧会が目立つ。その筆頭に挙げられるのが、冷泉家(れいぜいけ)に伝わる貴重な古典籍(冷泉家時雨…

「松丸本舗」オープン/丸善・丸の内本店

○丸善インフォメーション:丸善×松岡正剛=松丸本舗 松岡正剛氏プロデュースの丸の内本店の中の書店、「松丸本舗」が丸の内本店4階にオープン!(2009/10/23) 書評サイト『千夜千冊』の執筆者である松岡正剛氏と、丸善が共同プロデュースによる『松丸本舗』…

変わりゆく役割/東京大学:エリート養成機関の盛衰(橘木俊詔)

○橘木俊詔『東京大学:エリート養成機関の盛衰』 岩波書店 2009.9 「国家の須要ニ応ズル学術技芸ヲ教授シ及其薀奥ヲ攻究スル」ことを目的に創立され、官僚、政治家、学界、経済界、医療、文人など、さまざまな分野の指導者を輩出してきた東大について、「エ…

熱中・タイムスリップ時代劇/TBS日曜劇場『JIN-仁-』

○TBS日曜劇場 ドラマ『JIN-仁-』 放送が始まる前に、たまたま、ネットの掲示板で記事を見た。原作は村上もとか(スーパージャンプ連載中)。「幕末の江戸へタイムスリップしてしまった脳外科医・南方仁が、満足な医療器具も薬もない環境で人々の命を救って…

再生のチャンスはどこに/「格差」の戦後史(橋本健二)

○橋本健二『「格差」の戦後史:階級社会日本の履歴書』(河出ブックス) 河出書房新社 2009.10 格差については、もう語り尽くされた感もある。しかし、本書には新しい視点が加わっている。それは表紙に掲げられたコピー「(従来の)格差/貧困論には長期的視…

近江巡礼と若冲の旅(3):若冲ワンダーランド(MIHOミュージアム)

○MIHOミュージアム 秋季特別展『若冲ワンダーランド』(2009年9月1日~12月13日) さて、若冲である。昨年12月、北陸の旧家で若冲の『象鯨図屏風』が見つかり、2009年9月からMIHOミュージアムの若冲展で公開予定、と聞いたときは、正直、あまり期待していな…

近江巡礼と若冲の旅(2):岩間寺、大津市歴史博物館

■西国第十二番 岩間山正法寺(岩間寺)(滋賀県大津市) そもそも、この週末(10/17-18)の札所めぐりを思い立ったのは、京都在住の友人から、毎月17日(ご縁日)に限り、岩間山行きの直通バスが運行される、と聞き及んだからである。私と同様、この情報に動…

近江巡礼と若冲の旅(1):観音正寺、長命寺

西国三十三所結縁御開帳もいよいよ佳境! 急遽思い立って、10月2度目の関西行きとなった。 ■西国第三十二番 繖山観音正寺(滋賀県蒲生郡) 観音正寺は、標高433メートルの繖山(きぬがさやま)の山上にあり、かなりの難所。距離は短いが急な石段の表参道から…

匙を投げる/女性と貧困(ロスジェネ 2009別冊)

○『超左翼マガジン ロスジェネ』2009別冊「女性と貧困:生き抜く道は、どこにあるのか?」 かもがわ出版 2009.9 2008年5月に創刊された本誌は、ビジュアル重視の派手な表紙と硬派(ふう)な特集タイトルのミスマッチが、書店でも気になる存在だった。 それに…

日本の古い友人/近代ヨーロッパの誕生(玉木俊明)

○玉木俊明『近代ヨーロッパの誕生:オランダからイギリスへ』(講談社選書メチエ) 講談社 2009.9 近代ヨーロッパの成立過程を、オランダからイギリスへというヘゲモニーの移譲プロセスを軸に、主に経済史の立場から論じたもの。「オランダ→イギリス」と聞け…

首都圏の歴女、注目/伊達政宗とみちのく文華(金沢文庫)

○神奈川県立金沢文庫 仙台市博物館・神奈川県立金沢文庫交流特別展『伊達政宗とみちのく文華』(2009年10月9日~12月6日) 仙台市博物館が所蔵する伊達家伝来品を借り受け、中世から近世に至る「みちのく文華」を紹介する展覧会。金沢文庫のHPを見たら、おお…

眩しいお色直し/国宝那智瀧図と自然の造形(根津美術館)

○根津美術館 新創記念特別展 第1部『新・根津美術館展~国宝那智瀧図と自然の造形』(2009年10月7日~11月8日) 新装開店、いや新創開館した根津美術館に行ってきた。休館前の最後の展覧会、2006年春の『燕子花図と藤花図』展の記事を読み返し、3年半は長かっ…

東博の平常展・特集陳列『世界と日本』ほか

○本館16室 シリーズ「歴史を伝える」特集陳列『世界と日本』(2009年8月18日~10月12日) 『皇室の名宝』のあとは、本館の平常展に流れる。16室(歴史資料)では、江戸時代を中心とした国際交流に関する資料が紹介されている。今回は文献資料が多くて、書誌好…

魅力全開/皇室の名宝(東京国立博物館)

○東京国立博物館 特別展『皇室の名宝―日本美の華』(1期:2009年10月6日~11月3日) 3連休の初日。たまたま、平日と同じ時間に目が覚めたので、これ幸い、布団を出て、上野に向かった。9時40分くらいに東博に到着。入口に行列はできていない。よかった。本展…

若い世代と考える/それでも、日本人は「戦争」を選んだ(加藤陽子)

○加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 朝日出版社 2009.7 加藤陽子さんの本は、難しくて最後まで読めたことがない、という読者(私もそのひとりである)にお薦め。本書は、東大で日本近代史を講ずる著者が、神奈川県の私立栄光学園(男子校)で…

秋の関西旅行(3):熊野三山の至宝(和歌山県立博物館)

○和歌山県立博物館『熊野三山の至宝-熊野信仰の祈りのかたち-』(2009年9月8日~10月18日) 和歌山県立博物館には、初訪問。会場に入って、最初に私の心を捉えたのは、文化財ではなくて、大きな写真パネルだった。熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、…

秋の関西旅行(2):道教の美術(大阪市立美術館)

○大阪市立美術館 『道教の美術 TAOISM ART』(2009年9月15日~10月25日) 東京で2回も行った『道教の美術』を見るために、性懲りもなく、大阪まで出かけてしまった。行ってよかったと思う。ほとんど別の展覧会を見たような気分である。 最初の展示室で、仙台…

秋の関西旅行(1):善峯寺、穴太寺、園城寺

秋は忙しい。しかも今年は特別だ。天皇御在位20周年を記念して大規模な特別展が目白押しに加えて、西国三十三所のご開帳もある。この週末は関西に出かけ、昨日(土曜日)は和歌山県立博物館と大阪の『道教の美術』を見て、今日は札所めぐりに専念した。 ■西…

内陸アジア史の視点/清朝とは何か(別冊・環16)

○岡田英弘編『清朝とは何か』(別冊・環 16) 藤原書店 2009.5 もともと中国古代史好きだった私の興味は、近年、強く清朝に吸い寄せられている。だって面白いんだもん。清朝は、長城の北に建国した女真族(のち満州族)の王朝で、北京を攻略して、1644年から…