見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

体制批判する右翼/日本主義と東京大学(井上義和)

○井上義和『日本主義と東京大学:昭和期学生思想運動の系譜』(パルマケイア叢書23) 柏書房 2008.7 1ヶ月ほど前、紀伊国屋書店の新宿セミナーを聴きに行った。佐藤優氏と竹内洋氏による、『いま、あらためて<日本主義>を問う-蓑田胸喜的なるものと現代-…

明治の文士たち/思い出す人々(内田魯庵)

○内田魯庵『思い出す人々』(岩波文庫) 岩波書店 1994.2 内田魯庵の文章は、品があって、博識で、江戸っ子らしくさばさばしていて、私の性に合う。けれども、もっと読みたいのに、なかなか手頃な本がない。と思っていたら、「2008年夏 岩波文庫/一括重版」…

虚々実々/御書物同心日記(出久根達郎)

○出久根達郎『御書物同心日記』(講談社文庫) 講談社 2002.12 最近、藤實久美子さんの『江戸の武家名鑑』を読んで、『御書物方日記』の存在を知った。いや、国立公文書館の展示会などで見ていると思うのだが、きちんと認識したのは初めてである。徳川将軍家…

愛をめぐる闘争/漱石:母に愛されなかった子(三浦雄士)

○三浦雄士『漱石:母に愛されなかった子』(岩波新書) 岩波書店 2008.4 漱石は「母に愛されなかった子」だった。むろん、真実、そうだったかどうかは分からない。ただ、少なくとも漱石はそう思っていた。母の愛を疑っていた。そのことをテーマに、生涯、作…

完璧無比/明治の七宝(泉屋博古館分館)

○泉屋博古館分館 夏季特別展『近代工芸の華 明治の七宝-世界を魅了した技と美』 http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/index.html 雑誌『美術手帖』に触発されて、先日、京都にある並河靖之七宝記念館を見てきた。けれども、清水三年坂美術館の『帝室技芸員・並…

仏像ファン感激必至/六波羅蜜寺の仏像(東博)

■東京国立博物館・本館11室 特集陳列『六波羅蜜寺の仏像』 本館11室には、ふだん、館蔵品の仏像彫刻が展示されている。多少の展示替えはあるが、いわば登録選手団の中から、先発メンバーをやりくりするようなもので、この数年来、大きな変化を感じたことがな…

夏フェス開幕/対決 巨匠たちの日本美術(東博)

○東京国立博物館 特別展『対決-巨匠たちの日本美術』 http://www.tnm.go.jp/ いや、すごい人だった。実は前日も平常展を見がてら、この展覧会の様子を探りに行ったのである。そうしたら、入場規制はしていないようなので、ふーん、最近の特別展ほどではない…

対決、出雲寺vs須原屋/江戸の武家名鑑(藤實久美子)

○藤實久美子『江戸の武家名鑑:武鑑と出版闘争』(歴史文化ライブラリー) 吉川弘文館 2008.6 「武鑑」とは何か。大名家や旗本家について、系図・紋所・江戸上屋敷の場所・当主の名前・妻・家族・家臣・参勤交代の期日などなど、さまざまな情報を集めたダイ…

リーダーの責任/広田弘毅(服部龍二)

○服部龍二『広田弘毅:「悲劇の宰相」の実像』(中公新書) 中央公論新社 2008.6 「広田に対する日本人の印象は、城山三郎氏の小説『落日燃ゆ』によってつくられたといっても過言ではない」と、著者は「あとがき」で述べている。『落日燃ゆ』は1974年の作品…

炎暑関西行(5):祇園祭直前、京都市中散歩

先週の日曜日7/13、関西旅行の残りを駆け足で。 ■並河靖之七宝記念館 春季特別展『七宝の雅』 http://www8.plala.or.jp/nayspo/ 今回、ぜひ訪ねてみたいと思っていたのがここ。先だって、雑誌『美術手帖』2008年6月号「京都アート探訪」で、山下裕二先生が「…

炎暑関西行(4):絵画を中心に(京博・常設展)

○京都国立博物館 平常展示 http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html 京博の平常展示で、いつも一番楽しみにしているのは中国絵画。今期は、夏らしく、墨竹と山水でまとめている。展示室内にひんやりしたマイナスイオンが充満しているかのようだ。 中でも…

炎暑関西行(3):アジャンタ・シーギリヤ壁画模写(京博)

○京都国立博物館 特集陳列『杉本哲郎 アジャンタ・シーギリヤ壁画模写-70年目の衝撃-』 http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html 杉本哲郎(1899~1985)が、昭和12~13年(1937~38)に制作したインドのアジャンタ壁画模写(3点)とスリランカのシー…

炎暑関西行(2):建築を表現する、他(奈良博)

■奈良国立博物館 特集陳列『建築を表現する-弥生時代から平安時代まで-』 http://www.narahaku.go.jp/exhib/2008toku/kenchiku/kenchiku-1.htm 『国宝 法隆寺金堂展』は、あまり期待もしていなかったので、こんなものか、という感じで終わって、次に進む。…

炎暑関西行(1):法隆寺金堂展(奈良博)

○奈良国立博物館 特別展『国宝 法隆寺金堂展』 http://www.narahaku.go.jp/ 法隆寺金堂の諸像を公開する展覧会。法隆寺には、先だって5月に行ってきたばかりなのだが、仏像好きの友人たちと話が盛り上がり、出かけることになった。 内容には、あまり期待をし…

炎暑の京都・祇園祭カウントダウン

先週末は、頼まれものの原稿書きで家に籠もっていたので、ネタ切れになってしまった。飲み会も続いて、忙しかったし。この週末は、久しぶりに遠出。関西在住の友人と落ち合って、初日は奈良、それから京都をまわった。折りしも、この2日間は祇園祭の山建て・…

中華芸能・三国志映画、2人の趙子龍

まず、呉宇森(ジョン・ウー)監督、三国志「赤壁の戦い」に題材を取った映画『レッド・クリフ(赤壁)』。7月3日、四川省・成都での世界プレミアに続き、いよいよ7月10日、中国で公開が始まるらしい(ただし前編のみ)。日本での公開は2008年11月1日だそう…

さよなら、百貨店/ポスト消費社会のゆくえ(辻井喬、上野千鶴子)

○辻井喬、上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』(文春新書) 文藝春秋社 2008.5 上野千鶴子の本を読むのは久しぶりだ。80年代には熱心に読んだものだが、90年代に入ると、すっかりフェミニズムに興味を失って、爾来20余年、新聞・雑誌の短文さえも読んでい…

ビールに笹かまぼこ

最近は7月1日付け人事が増えたので、今週の職場は気分一新。 まあ、スムーズに流れ始めてよかった。 金曜の夜、冷蔵庫の前で祝杯。 仙台土産の笹かまぼこ(ごま豆腐かまぼこ)に、調布の鬼太郎ビール。

右翼?左翼?/失敗の愛国心(鈴木邦男)

○鈴木邦男『失敗の愛国心』(よりみちパン!セ) 理論社 2008.3 刺激的な話題を、次々と世に問う「よりみちパン!セ」シリーズ。本書のテーマは「愛国心」だ。著者は「日本のためによかれと思い、四十年間『右翼』をやってきました」という鈴木邦男である。…

いま、あらためて<日本主義>を問う(佐藤優、竹内洋)

○紀伊国屋書店・第113回新宿セミナー 佐藤優×竹内洋トークイベント『いま、あらためて<日本主義>を問う-蓑田胸喜的なるものと現代-』(2008年6月29日) たまたま、紀伊国屋書店のホームページを覗いて、このイベントの告知を見つけた。札止めになるとい…

働きすぎの罠/軋む社会(本田由紀)

○本田由紀『軋む社会:教育・仕事・若者の現在』 双風舎 2008.6 2006年から2008年にかけて、新聞・雑誌などに発表された文章の集成である。きちんとした論文の形態を取るものから、軽めの短文、座談会、若者(中学生くらい?)を読者として想定した文章など…