見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

命を生み出す工芸/驚異の超絶技巧!(三井記念美術館)

〇三井記念美術館 特別展『驚異の超絶技巧!:明治工芸から現代アートへ』(2017年9月16日~12月3日) 早い時期から「明治の工芸推し」を表明していた山下裕二先生の監修。同館は、2014年にも特別展『超絶技巧!明治工芸の粋』を開催しているが、本展は、明…

何でも描ける/狩野元信(サントリー美術館)

〇サントリー美術館 六本木開館10周年記念展『天下を治めた絵師 狩野元信』(2017年9月16日~11月5日) 狩野派の始祖・正信の息子、二代目・狩野元信(1477?-1559)は、卓越した画技を持ち、歴代の狩野派絵師の中で最も高く評価されてきた絵師。和漢の両分野…

最新の研究成果から/雑誌・芸術新潮「オールアバウト運慶」

○雑誌『芸術新潮』2017年10月号「オールアバウト運慶」 新潮社 2017.10 東京国立博物館の『運慶』展の連動企画。個人的に、『運慶』展には必ずしも高い評価をつけていないのだが、本誌の特集は非常によかった。金沢文庫主任学芸員の瀬谷貴之さんの解説がいい…

二都生活の発見/ときどき、京都人(永江朗)

〇永江朗『ときどき、京都人:東京←→京都、二都の生活』 徳間書店 2017.9 京都駅八条口の近鉄名店街に「ふたば書房」という本屋さんがある。文庫・新書だけでなく、読み応えのある本もおいているので、旅先で本が切れたときには重宝している。それと、さすが…

謎のコレクター夢石庵を探して/末法(細見美術館)

〇細見美術館 『末法/Apocalypse-失われた夢石庵コレクションを求めて-』(2017年10月17日~12月24日) 釈迦の死後1500年(一説には2000年)を経て始まるといわれる「末法」の世。平安の貴族たちは、永承7年(1052)に末法の世に入るという予言を信じ、極…

魅惑と破壊の「鉄の馬」/トラクターの世界史(藤原辰史)

〇藤原辰史『トラクターの世界史:人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(中公新書) 中央公論新社 2017.9 はあ?トラクター?と思いながら、おそるおそる読んでみたらとても面白かった。情報豊富で、歴史の新しい視点を手に入れたような気がする。私は完全な…

龍光院の曜変天目を見る/国宝(京都国立博物館). 第2期

〇京都国立博物館 開館120周年記念 特別展覧会『国宝』(2017年10月3日~11月26日)(第2期:10月17日~10月29日) 国宝展第1期に続き、第2期も行ってきた。当初は行くつもりがなかったのだが、京都・龍光院の曜変天目が出ると知って、無理やり予定を入れた…

2017衆議院選挙前日

明日は投票日である。この選挙戦、ドラマか小説のように色々なことがあったけど、立憲民主党の立ち上げこそ私にとっては「希望」の光だった。枝野幸男さんの演説は、はじめ吉祥寺駅前で聞き、SNSを通じて何度も聞いた。だいたい同じことの繰り返しだったけど…

平日の日帰り京都

今年度初めての有休が取れることになったので、日帰りで京都へ! 本当はこの土日に1泊旅行を計画していたのだが、東京にほかの予定もあり、衆院選も気になるし、いろいろ困っていたら、昨日の午後、これは金曜に休めるのではないか?ということに気がつき、…

国宝、そして末法/雑誌・BRUTUS「国宝」

〇雑誌『BRUTUS』2017年10/15号「国宝。」 マガジンハウス 2017.10 京博の『国宝』展と全面タイアップという感じの誌面である。冒頭に「国宝の基礎知識。」を掲げ、見開きページで解説したあとは、写真いっぱいの国宝紹介。ざっと見たところ、『国宝』展に出…

英国から世界へ/ウィンザーチェア(日本民藝館)

〇日本民藝館 特別展『ウィンザーチェア-日本人が愛した英国の椅子』(2017年9月7日~11月23日) 18世紀前半にイギリスで生まれたウィンザーチェアを中心に、欧米の多様な椅子を展観し、その造形美を紹介する特別展。主に日本や朝鮮の工芸を収集している同…

照明に賛否両論/運慶(東京国立博物館)

〇東京国立博物館 興福寺中金堂再建記念特別展『運慶』(2017年9月26日~11月26日) 日本で最も著名な仏師・運慶の作品を興福寺をはじめ各地から集め、さらに運慶の父・康慶、実子・湛慶、康弁ら親子3代の作品を揃えて次代の継承までをたどる。この秋、間違…

会いに行けるシルクロード文化財/素心伝心(東京芸大大学美術館)

〇東京芸大大学美術館 シルクロード特別企画展『素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生』(2017年9月23日~10月26日) 東京藝術大学は、劣化が進行しつつある或いは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくための試み…

高低差と歴史で読み解く/京都の凸凹(でこぼこ)を歩く2(梅林秀行)

○梅林秀行『京都の凸凹を歩く:名所と聖地に秘められた高低差の謎』 青幻舎 2017.5 『京都の凸凹を歩く:高低差に隠された古都の秘密』からちょうど1年。嬉しいことに続編が刊行された。今回、取り上げられているのは「嵐山」「金額寺」「吉田山」「御所東」…

2017年10月@関西:長沢芦雪展(愛知県美術館)

〇愛知県美術館 開館25周年記念『長沢芦雪展:京(みやこ)のエンターテイナー』(2017年10月6日~11月19日) 三連休3日目の月曜日は名古屋に移動。「愛知県美術館」って覚えがないなあと思ったら、私は2005年に『自然をめぐる千年の旅』を見に来て以来の再…

2017年10月@関西:大徳寺曝涼(むしぼし)+仏教儀礼と茶(茶道資料館)など

■大徳寺本坊(京都市北区) 三連休2日目の日曜日は、朝から大徳寺へ。10月の第二日曜といえば、大徳寺の宝物曝涼(むしぼし)である。昨年は小雨のパラつく生憎の天気だったが、今年は朝から気温も上がり、夏日のような青空。私は三度目の参観になるが、前回…

2017年10月@関西:国宝(京都国立博物館). 第1期

〇京都国立博物館 開館120周年記念 特別展覧会『国宝』(2017年10月3日~11月26日)(第1期:10月3日~10月15日) 国宝展第1期に行ってきた。当初は日曜の朝から並ぶつもりだったが、SNSを見ていると、開館前から数百人の行列ができているらしい。今回は「入…

2017年10月@関西:大津の都と白鳳寺院(大津歴博)+地獄絵ワンダーランド(龍谷)

■大津歴史博物館 大津京遷都1350年記念 企画展『大津の都と白鳳寺院』(2017年10月7日~11月19日) 三連休関西旅行は大津から。本展は、667年に天智天皇が飛鳥から大津に遷都し、近江大津宮、いわゆる「大津京」が置かれて1350年になることを記念する企画展…

2017年10月@関西:京都・八瀬の赦免地踊り

三連休は京都・名古屋で秋の展覧会めぐりをしてきた。直前にネットで京都の観光情報を調べていたら、八瀬の赦免地(しゃめんち)踊りというお祭りを見つけた。実は以前、京都文化博物館が「八瀬童子関係資料」をテーマとした展示をやったとき、この祭礼の写…

美の冒険/江戸の琳派芸術(出光美術館)

〇出光美術館 『江戸の琳派芸術』(2017年9月16日~11月5日) 江戸琳派、すなわち江戸時代後期に活躍した絵師・酒井抱一(1761-1828)と、抱一門きっての俊才・鈴木其一(1796-1858)の絵画に注目した展覧会。だいぶ前に行ったので、思い出しながら書く。出…

探検家vs.中世日本史家/世界の辺境とハードボイルド室町時代(高野秀行、清水克行)

〇高野秀行、清水克行『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 集英社インターナショナル 2015.8 書店で平積みになっていたのを購入し、読んでみたら、むちゃくちゃ面白い。こんなに面白い本が、なぜ話題にならないんだろうと思って、奥付を見たら、2年前に…

永青文庫で購入/等伯の説話画 南禅寺天授庵の襖絵(須賀みほ)

〇須賀みほ『等伯の説話画 南禅寺天授庵の襖絵』 青幻舎 2015.4 昨日のブログに書いたように、永青文庫の秋季展『重要文化財 長谷川等伯障壁画展 南禅寺天授庵と細川幽斎』を見に行って、帰りに受付で本書を見つけ、しばらく迷った末に購入してしまった。32…

等伯が描く禅宗祖師たち/南禅寺天授庵と細川幽斎(永青文庫)

〇永青文庫 秋季展『重要文化財 長谷川等伯障壁画展 南禅寺天授庵と細川幽斎』(2017年9月30日~11月26日) 南禅寺塔頭・天授庵といえば長谷川等伯である。というほど、きちんと両者が結びついているわけではないのだが、直近では、昨年、京博の『禅』展で見…

禅宗の世界を多角的に/大般若経と禅宗(五島美術館)

〇五島美術館 秋の優品展『大般若経と禅宗』(2017年8月26日~10月15日) ポスターのビジュアルが経文なので、なんとなく古写経とか墨蹟とか、文字ばかりが並ぶ展覧会を想像して行ったら、意外と絵画資料が多くて、華やかな展覧会だった。入ってすぐ目につく…