見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

平戸の南蛮菓子カスドース

先週末、五島美術館の『松浦家とオランダ残照』を見に行って購入(蔦屋製)。ただし、松浦章氏(松浦家41代当主)の講演会会場で売られていたので、当日のみの限定販売かもしれない。 2004年に平戸に行ったときも、お土産で買ったはず(このときは湖月堂か。…

時空を超えて/江戸の天文学者、星空を翔ける(中村士)

○中村士『江戸の天文学者、星空を翔ける:幕府天文方、渋川春海から伊能忠敬まで』(知りたい!サイエンス) 技術評論社 2008.6 江戸時代の天文学者や知識人たちは、限られた情報源をもとに、どのように西洋天文学を学び取っていったのか。それは苦難の連続で…

慌てず、騒がず/デジタル社会はなぜ生きにくいか(徳田雄洋)

○徳田雄洋『デジタル社会はなぜ生きにくいか』(岩波新書) 岩波書店 2009.5 「わかりにくい操作、突然の不具合、巧妙な詐欺など、デジタル化社会に生きる困難は確実に深まっている」というのが本書の前提である。そして、2つのとらえ方が示される。ひとつは…

子どもの王様/手塚治虫展(江戸東京博物館)

○江戸東京博物館 生誕80周年記念特別展『手塚治虫展-未来へのメッセージ』 手塚治虫(1928-1989)の生誕80周年を記念する特別展。1993年に開館した江戸博は、何がやりたいのか、よく分からない博物館だったが、2004年の『大(Oh!)水木しげる』→2007年の『…

平戸のお殿様/松浦家とオランダ残照(五島美術館)

○五島美術館 平戸・オランダ通商400周年記念特別展『松浦家とオランダ残照』(2009年5月16日~6月21日) ポスターを見て、五島美術館にしては変わったテーマだな、と思った。書画・茶道具など美術品が中心で、歴史資料を扱うのは珍しいと思ったのだ。私が長…

雪村の竹林七賢図屏風/名品展(畠山記念館)

○畠山記念館 春季展 開館45周年記念『畠山記念館名品展-季節の書画と茶道具』(2009年4月11日~6月21日) 16日から始まった後期を見てきた。前期で味をしめたので、この日も展示室でお抹茶をいただき、心豊かに鑑賞。正面には、伝・趙昌筆『林檎花図』(国…

淫蕩なヴィーナス/ナナ(エミール・ゾラ)

○エミール・ゾラ著、川口篤・古賀照一訳『ナナ』(新潮文庫) 新潮社 2006.12(1956-59年刊の合冊新装版か) お手軽な新書ばかり読んでいると、少し「腹持ちのいい」小説が読みたくなるものだ。原著は1879年刊。第二帝政期(1852~1870)のパリ。ヴァリエテ…

フェイク?/雪舟とその流れ(千秋文庫)

○千秋文庫 『雪舟とその流れ-佐竹家狩野派模写絵展』(2009年5月7日~8月11日) 仕事の都合で、ときどき土日出勤が入り、振替休を貰う。そんなときのために、月曜に開いている美術館・博物館の情報は重要だ。ひとつがここ、千秋文庫である。2007年に中国絵…

アレンジ大成功/文楽・ひらかな盛衰記

○国立劇場 5月文楽公演『ひらかな盛衰記』 二段目「梶原館の段」「先陣問答の段」「源太勘当の段」と四段目「辻法印の段」「神崎揚屋の段」「奥座敷の段」の半通しの上演。舞台が始まると、ああ、むかし見た演目だなあと思い出したが、記憶は薄かった。 梶原…

気になるTV番組「遥かなる絆」そして「蒼穹の昴」

■NHKドラマ『遥かなる絆』(2009年4月18日~5月23日、全6回) たまたまチャンネルを合わせたときに番組宣伝をやっていて、へぇー韓流びいきのNHKが、めずらしく中国を舞台にしたドラマを作るのか、と思って見始めた。実話をベースにした重みが感じられて、毎…

展覧会拾遺・東京芸大美術館と東京国立博物館

連休前後に出かけて、報告の機会を逃していた展覧会を簡単に。 ■東京芸術大学大学美術館 『皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界』(2009年4月14日~6月14日) 尼門跡(皇女や貴族の息女が住職となる寺院)に伝えられてきた伝統文化を紹介する展覧会。…

死者は誰のものか/靖国の戦後史(田中伸尚)

○田中伸尚『靖国の戦後史』(岩波新書) 岩波書店 2002.6 タイトルのとおり、終戦から本書刊行当時までの歴史が時系列順に整理されており、「靖国問題」の基礎文献として役立つ。ただし、本文中に記述されているのは、2001年8月13日、小泉純一郎が敢行した「…

男性ドラマの王道/映画・ウォーロード 男たちの誓い

○ピーター・チャン監督 『ウォーロード 男たちの誓い』 私は、韓流ドラマは全く受け付けなくて、年来の中華芸能ファンである。韓国語は分からないけど、中国語は少し分かるから、というより、これは趣味と文化の問題だと思う。最近は、中国(大陸)ドラマも…

貧相な貧困観/子どもの貧困(阿部彩)

○阿部彩『子どもの貧困:日本の不公平を考える』(岩波新書) 岩波書店 2008.11 いま「貧困」をテーマにした本はブームの感がある。けれども、その中にあって、昨年11月に出た本書は、やや影が薄いように感じられる。これは、日本の社会が、大人の(あるいは…

講演・上野の博物館・美術館建築について(藤森照信)

○東京国立博物館 記念講演会『上野の博物館・美術館建築について』(講師・藤森照信) 「国際博物館の日」(5/18)を記念する講演会。昨年の『東京国立博物館のはじまりの日々』(講師・木下直之)に続いて、今年も出かけてみた。木下先生の講演は、写真満載…

仏友フォーエバー/見仏記・ゴールデンガイド篇(いとうせいこう、みうらじゅん)

○いとうせいこう、みうらじゅん『見仏記:ゴールデンガイド篇』 角川書店 2009.4 言うまでもないことだが、私は『見仏記』の愛読者である。調べてみたら、第1冊目が単行本として刊行されたのは1993年。16年前のことだ。私もまだ30代の前半でありました。高校…

老境に入る/月とメロン(丸谷才一)

○丸谷才一『月とメロン』 文藝春秋 2008.5 雑誌『オール読物』2006年6月号から2007年9月号に連載されたもの。『双六で東海道』の続き。文中、歴史学者・服部之総のエッセイを紹介する段で、「戦前の随筆は無内容であったが」「戦後のそれは内容がなければ読…

緑風五月秘仏の旅(5):京都・泉涌寺、銀閣寺東求堂

■御寺(みてら)泉涌寺 秘仏の旅も最終日(5/6)。行き先に悩んだが、結局、京都に出て、駅から近い泉涌寺に向かうことにした。山門をくぐるとすぐ、左手に「楊貴妃観音堂」がある。寛喜2年(1230)に将来された像で、泉涌寺のホームページには「像容の美し…

緑風五月秘仏の旅(4):京都・神護寺虫払い、他

■三尾:高雄山神護寺~槙尾山西明寺~栂尾山高山寺 秘仏の旅3日目(5/5)は再び京都へ。さあ今日は、憧れの神護寺「寺宝虫払い」に行くのだ!と思うだけで、遠足前の小学生みたいに興奮が抑えられない(ちなみに鎌倉の建長寺・円覚寺は「宝物風入れ」と呼ぶ…

緑風五月秘仏の旅(3):天橋立・成相寺

■西国第二十八番札所 成相山成相寺(京都府宮津市) 秘仏の旅3日目(5/4)は彦根を離れ、京都駅発の特急「はしだて」に乗り換える。西国三十三所巡礼のおかげで、いろんな列車に乗り、いろんな場所に行くことができてうれしい。先週末に成相寺に来ている巡礼…

緑風五月秘仏の旅(2):滋賀・竹生島、向源寺、彦根

■西国第三十番 厳金山宝厳寺(滋賀県東浅井郡) 秘仏の旅2日目(5/3)は、琵琶湖に浮かぶ竹生島を目指す。彦根からも観光船が出ているのだが、ちょっと早起きして、JR湖西線で長浜に移動、長浜港9:00発のチケットを買う。チケット売り場でうろうろしていたら…

緑風五月秘仏の旅(1):京都・醍醐寺、六波羅蜜寺

西国三十三所のご開帳を追って、関西に来ている。実はゴールデンウィークに東京を脱出するのは、就職して初めてのことかも知れない。観光地は、どこも大混雑だろうと覚悟を決めてきたわりには、今のところ、それほどひどい目には遭っていない。第1日目(5/2…

労働者の娘/四川のうた(ジャ・ジャンクー )

○ジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督 映画『四川のうた』 「セミドキュメンタリー」というのだそうだ。舞台は四川省成都。2007年に実際に閉鎖(民営化、移転)された国営工場「420」の労働者100人にインタビューを重ね、計8人の独白を映像化したもの。うち4人は…

普通の暮らし/居酒屋ほろ酔い考現学(橋本健二)

○橋本健二『居酒屋ほろ酔い考現学』 毎日新聞社 2008.6 橋本健二氏は、「格差」「階級」「貧困」の論じ手として、私が最も信頼をおく社会学者である。けれども、著者のホームページで本書の存在を知ったときは、思わず眉をひそめてしまった。 これはタイトル…