見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

分からないことばかり/日本売春史(小谷野敦)

○小谷野敦『日本売春史:遊行女婦からソープランドまで』(新潮選書) 新潮社 2007.9 「幻想ばかりの売春論に喝。」というのがオビの謳い文句である。したがって、本書の記述は、先行研究が生み出した「通説」が、いかに根拠薄弱な飛躍と偽善に満ちたものか…

関西週末旅行10月編:奈良博を褒める

今年も正倉院展に行ってきた。展示内容については、昨日のブログに詳述したので、少し「運営まわり」のことを書いておきたい。 正倉院展には、通い始めて10年くらいになる。気が付いたら、6年間皆勤を達成してしまった。この間、最も大きな変化は、2005年か…

関西週末旅行10月編:正倉院展(奈良博)

○奈良国立博物館 第59回『正倉院展』 http://www.narahaku.go.jp/ 今年も正倉院展に行ってきた。昨年に引き続き、6年連続の皆勤である。土曜日は日中の仕事を終えてから、夕方、新幹線で奈良に向かった。前泊して、今朝は8時少し前に奈良博へ。なんとか第1列…

雑誌いろいろ・2007年11月号

ようやく金曜日である。秋の夜長は雑誌でも楽しもうと思って、目についたものを買い込んで来た。ま、明日の仕事は午後からだし。いずれも2007年11月号。 ■『東京人』 特集「八百八町は夜も眠れず:大江戸出版繁昌記」 カラー図版を多数使って、江戸の出版物…

同胞でなく友人と共に/日本・映像・米国(酒井直樹)

○酒井直樹『日本/映像/米国:共感の共同体と帝国的国民主義』 青土社 2007.7 本書の主張は、最終章「まとめに代えて」を参照するのが分かりやすい。日本の戦後処理問題、とりわけ従軍慰安婦問題について、誠実な対応とは如何なるものかを著者は示している…

ウロコの落ちた目/日本男児(赤瀬川原平)

○赤瀬川原平『日本男児』(文春新書) 文藝春秋 2007.6 本を読んでいると、必ずしも「当たり」ばかりではない。本書は「期待外れ」の1冊だったが、記録のために書いておく。 赤瀬川さんの本は、ずいぶん読んできた。山下裕ニさんとの「日本美術応援団」シリ…

川越祭り・宵山

ああ~もう。先週に引き続き、今日もこれからお仕事(お付き合いのレセプション)である。さらに宿題も持ち帰っているので、自由な時間が全くない。MOA美術館の浄瑠璃物語絵巻全12巻公開も、どうやら行けそうにないなあ。紹介いただいたのりさん、ほんとにご…

国家と図書館/書物の日米関係(和田敦彦)

○和田敦彦『書物の日米関係:リテラシー史に向けて』 新曜社 2007.8 知らない人は知らないだろうが、アメリカの一部の図書館には、びっくりするほど豊富な日本語コレクションが所蔵されている。議会図書館の115万点を別格に、10万点以上の日本語図書を有する…

文武の大御所/大徳川展(東京国立博物館)

○東京国立博物館 特別展『大徳川展』 http://www.tnm.go.jp/ 徳川将軍家300年の成り立ちから終焉まで、さらに尾張・紀伊・水戸の御三家を加え、ゆかりの宝物を一挙に紹介しようという「欲張り」企画である。戦国の美学から伝統の雅びまで、「何でもあり」に…

その男、天才につき/岡倉天心(東京芸大美術館)

○東京藝術大学大学美術館 創立120周年企画『岡倉天心-芸術教育の歩み-』 http://www.geidai.ac.jp/museum/ 会場の入口には、下村観山が描いた肖像『天心岡倉先生』が待っている。ただし、第9回再興院展に出品した完成品は翌年の震災で焼失してしまったため…

先生の蔵書/文豪・夏目漱石(江戸東京博物館)

○江戸東京博物館 特別展『文豪・夏目漱石-そのこころとまなざし-』 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/ 夏目漱石の旧蔵書「漱石文庫」は東北大学附属図書館が所蔵している。その漱石文庫が江戸博で展示されるらしい、と聞いたので、地味な図書館資料をど…

東アジアの文化交流/漢籍(国立公文書館)

○国立公文書館 平成19年度秋の特別展『漢籍』 http://www.archives.go.jp/ 国立公文書館には、明治以降の公文書のほか、紅葉文庫、昌平坂学問所、医学館など、徳川幕府由来のさまざまな古典籍が所蔵されている。和書はもちろん、漢籍も多い。しかし、一般に…

江戸の外交/朝鮮通信使(仲尾宏)

○仲尾宏『朝鮮通信使:江戸日本の誠信外交』(岩波新書) 岩波書店 2007.9 朝鮮通信使という存在を知ったのはいつ頃だろう。少なくとも教科書で習った記憶はない。私は、徳川300年イコール鎖国の時代、という日本の歴史を教わったので、慶長12年(1607)から…

国民国家ではなく/統一コリア(玄武岩)

○玄武岩『統一コリア:東アジアの新秩序を展望する』(光文社新書) 光文社 2007.9 韓国と北朝鮮が対話と協調を推し進め、やがて分断を乗り越えること。私はどちらかといえば、こうした立場に共感しながら関連書籍を読んできた。北朝鮮が、どうしようもなく…

いろいろ(院政期の絵画・歴史コンテンツ・性格診断)

最近、ネットで見つけたものを、まとめて記述しておこう。まず、奈良博の『美麗 院政期の絵画』関連情報を探していて、見つけたものから。 ■平成19年度独立行政法人国立文化財機構に係る年度計画(PDFファイル) www.nich.go.jp/kisoku/07.pdf 現在、4つの国…

至福の特別展/院政期の絵画(奈良博)

○奈良国立博物館 特別展『美麗 院政期の絵画』 http://www.narahaku.go.jp/exhib/2007toku/insei/insei-1.htm (※特別展トップページ→会期終了のため、奈良博のサイトからは消えている) 先週末の「関西週末旅行9月編」の続き。ほぼ開館と同時に会場に入った…

『安晩帖』と石の魅力/文人の世界(泉屋博古館)

○泉屋博古館(京都) 平成19年度秋季展『住友コレクション 文人の世界~中国書画と文房具~』 http://www.sen-oku.or.jp/kyoto/ 中国の書画に惹かれて訪ねてみたのだが、片面の壁に並んだ軸物には、あまり面白いものがなかった。あれー期待外れかな?と思っ…

戦う者たち/血涙(北方謙三)

○北方謙三『血涙:新楊家将』上・下 PHP研究所 2006.12 先日、読み終えた北方『楊家将』の続編。物語は『楊家将』の後日談である(以下ネタバレ)。楊業の死から2年後。生き残った六郎、七郎は、楊家軍の再興を志す。その頃、北辺の遼国には、記憶を失ったひ…

関西週末旅行9月編(4)京都国立博物館・日本絵画ほか

○京都国立博物館(平常展示)・日本絵画ほか http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html (展示詳細は10月版に更新済) 今回、特別展も特集展示も行われていない京博に、それでも寄ろうと思ったのは、国宝『風神雷神図屏風』(俵屋宗達筆)が公開中と知っ…

関西週末旅行9月編(3)京都国立博物館・中国絵画

○京都国立博物館(平常展示)・中国絵画 http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html (展示詳細は10月版に更新済) 2階に上がると、いつものように書蹟の部屋を通り抜け、中国絵画の部屋に向かう。角を曲がって、息を呑んだ。左右の展示ケースが、天井いっ…