〇2025NHK杯国際フィギュアスケート競技大会(11月7-9日、東和薬品RACTABドーム)
6月初め、今年の出場選手の情報がネットに流れてきたのを見て、今年のNHK杯は絶対に行かなくては!と思った。今季限りで引退を表明していた日本女子の坂本花織ちゃんと樋口新葉ちゃんを見たいというのもあったが、私が決意を固めたのは、中国ペアのスイハン(ウェンジン・スイ/ツォン・ハン)と、中国男子のボーヤン・ジンの名前があったからだ。チケットが販売開始されるとすぐ、3日間通し券を申し込んで、SS席を取った。初日、金曜の有休も早めに申請して取得。一番苦戦したのはホテル探しだったが、尼崎のビジネスホテルで折り合うことにした。
RACTABドームは、関西のフィギュアスケートファンにはおなじみの会場らしいが、私は初訪問。ドーム型の高い天井が気持ちよかった。

3日間通しで、印象に残った選手や演目について書いておくと、アイスダンスは1位のライラルイス組(英:ライラ・フィアー/ルイス・ギブソン)が超人的に素晴らしかった。アイスショーでも何度か演技を見ていたけど、競技のアイスダンスは別物。フリーはタータンチェック衣装で登場し、軽快なスコットランド民謡メドレーで、最後はテンポの速い「蛍の光」で締める。実は6分間練習でのルイスの滑りがあまりにもきれいで、既にそこから心を奪われていた。2位のギニャファブ(伊:シャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ)のフリーは上品でエモーショナル。やはりオリンピックの年は自国文化を意識するのかな。グリパー(キャロライン・グリーン/マイケル・パーソンズ)は、エキシビションの演出(会場控室のビデオ映像から入る)が凝っていて笑った。シブタニ兄妹(マイア&アレックス・シブタニ)は、マイアの闘病を乗り越えて8季ぶりの復帰だという。私の席の周りには古参ファンが多くて、復帰を心から喜んでいた。
ペアはもちろんスイハン組を応援。NHK杯は6年ぶりということだが、前回2019年の札幌大会が、私には初めてのNHK杯観戦だった。あれから6年、そのうち4年くらいはコロナ禍で国際大会の開催も難しく、北京五輪後にペア解消を表明したスイハンの演技を観ることはもうないと思っていたのに、機会を得られて本当に嬉しかった。スイちゃん大人っぽくなったねえ。SPは最初に登場して最後まで1位をキープしたが、FSはハンくんの肩の怪我の影響か、精彩を欠き3位に後退、エキシビジョンも欠場だったけど、2日間ありがとう。そしてゆなすみ(長岡柚奈/森口澄士)の進歩にはびっくりした。
男子シングルは、ボーヤンが懐かしかった。たぶん2019年のTHE ICE以来だと思う。あの頃「三銃士」「五銃士」と讃えられた男子スケーターたちがみんないなくなって、彼だけが残っているのが感慨深いし、「ジャンプだけ」と言われたボーヤンの優雅で丁寧なスケーティングを堪能した。チャ・ジュンファンも推しスケーターのひとり。SPは彼の持ち味が十分に出ていたと思うが、FSで失速してしまったのが残念。日本男子は、佐藤駿くんが大躍進を見せたにもかかわらず、さらにその上を行くのが鍵山優真くん。私はどっちも好き。でも駿くんが優真くんに勝利するときが来たら感無量で泣くだろうなあ。
女子シングルは樋口新葉ちゃんの健闘に泣いた。SPは今ひとつだったが、FS(ワンダーウーマン)は気迫で滑り切った。青木祐奈ちゃんのフリー「ラ・ラ・ランド」は競技であることを忘れてしまうような多幸感で良き。日本女子、みんな個性に合った曲で滑っている。坂本花織ちゃんはSP「Time To Say Goodbye」もFS「愛の讃歌」もパーフェクト。この成績で引退するのは残念な気がしてならないが、ご自身で決めたことだからなあ。最終日は、エキシビジョン「Poison」の完璧な演技に加えて、質問コーナーでは「好きなギャグは?」に応えて、ノンスタイルの「漢字の部首」漫才の物まねに大爆笑。恒例の自撮り集合写真タイムでは、NHKキャラの着ぐるみたちを必死に呼び集めていた。

1位の花織ちゃんに続いたのは、2位がカザフスタンのサモデルキナ、3位がベルギーのルナ・ヘンドリックス。3人ともがっちり鍛えたアスリート体型で、年齢も比較的高め。一時期、女子フィギュアが子供のような体型でないと勝てないスポーツみたいに思われていたことが、もはや雲散霧消していて、たいへん好ましかった。
海外からのお客さんはそんなに多くなかったと思うが、観客席からは、登場する選手に向けて多様な国旗が掲げられた。もちろん中国や韓国の国旗も。私の隣席のお姉さんも次々に国旗(をプリントした紙)を広げて「加油!」「フォルツァ!」「アレー!」などと声を出していた。こういうフィギュアスケートの雰囲気、大好き。
グランドフィナーレの周回。顔が見えないけど、半袖シャツに黒い手袋がボーヤンちゃんである。
