見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2022年9月関西旅行:中央アジア(MIHOミュージアム)他

東寺宝物館 『鎌倉時代の東寺-弘法大師信仰の成立-』(2022年9月20日〜11月25日)

 鎌倉時代の東寺は、後白河法皇源頼朝の支援によって伽藍や仏像の大修理が行われ、新たな法会や行事が定められた。その経緯を主に文書資料によって紹介する。伽藍の修理工事だけでなく、その後の維持運営のために、多くの庄園(東寺ではこの表記)が寄進されたり(財源)、供僧が増員されたり(人員)しているのに感心した。『鎌倉殿の13人』視聴者をねらって(?)北条泰時と時房(トキューサ)が連署した六波羅施行状が出ていたのには笑ってしまった。

龍谷ミュージアム 秋季特別展『博覧-近代京都の集め見せる力-』(2022年9月17日~ 11月23日)

 明治時代から昭和戦前期にかけて、京都で開催・開設された博覧会や博物館の中から、「京都博覧会」「西本願寺蒐覧会」「仏教児童博物館」「平瀬貝類博物館」を取り上げ、主催者側の展示に込めた強い思いを探る。面白かった! 特に当時の古写真(残っているんだなあ)を大きく引き伸ばしてタペストリーにした展示が興味深かった。明治の博覧会、観客にはあまり若い女性がいない気がする。今より早く老けた格好をする習慣だったからだろうか。昭和戦前期の小学生は、意外と戦後(昭和30年代くらい)と変わらない服装・髪型だなあとか、いろいろなことに気づく。

 京都の博覧会といえば、岡崎で開催された「内国勧業博覧会」のイメージが強かったが、もっと早く、明治4年(1871)に西本願寺を会場として開催されているのだな。京都女子大図書館から、多数の関係資料が出陳されているのが目を引いた。「西本願寺蒐覧会」は、江戸時代から行われてきた法宝物拝観を発展させたもの。地方の浄土真宗寺院の寺宝に、この蒐集会に出陳したことを示す文書などが付属して残っているもの面白かった。

 「仏教児童博物館」は、昭和3年(1928)、龍谷大学図書館長であった中井玄道(1878-1945)が図書館内に事務局を置くかたちで開設したもので、のち、円山公園内の三井家別邸を譲り受けて展示の場とし、アメリカに範をとった社会教育の施設として50年以上にわたって活動を継続した。日米親善の証としてアメリカから贈られたリアルな人形(リンカーン大統領、インディアン酋長など)が珍しかった。「平瀬貝類博物館」は、民間の貝類研究者だった平瀬與一郎(1859-1925)が岡崎に開設したもの。皇太子時代の昭和天皇も訪れたという。不思議な情熱の行方を垣間見る展覧会である。

MIHOミュージアム 秋季特別展『文明をつなぐもの 中央アジア』(2022年9月3日~12月11日)

 最後の訪問がコロナ禍前の2019年なので、久しぶりにMIHOミュージアムを訪ねた。本展は「中央アジア」を冠しているが、中心テーマは、ユーラシアの東西交流を支えたイラン系の交易の民、ソグド人である。はじめに彼らの精神世界の源流となる、中央アジア・東イランの古代文明の遺物に着目する。紀元前3000年~2000年に遡る装飾性豊かな壺や杯(石器か?)、銀器や女神坐像など。牡牛や猛獣・猛禽、聖樹が目立つ。やがて、馬、山羊、獅子なども登場し、古代中国の鳳凰・辟邪などと交錯する。

 『石床屏風』(北周時代)は、埋葬用の寝台の周囲を取り囲む大理石板のセットである。中央アジアの風俗を描いた浮彫が施されており、被葬者は中国で没したソグド人ではないかと考えられている。これはMIHOミュージアムの所蔵品で、いつでも常設展示で見られるものだが、近年、同様に中央アジアの文化を反映した石床が、ほかにも中国で発見されているそうだ。本展には、深圳市金石芸術博物館所蔵の『翟門生石床』(東魏)の拓本や実物大模型が展示されていた。

 併設の特別陳列『中華世界の誕生-新石器時代から漢-』(2022年7月9日~8月14日/9月3日~12月11日)も、彩陶から青銅器、鉄器に至る時系列が分かりやすく、名品が多くて楽しめた。