見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

(読むつもりの本)後白河法皇日録(小松茂美、前田多美子)

小松茂美編著、前田多美子補訂『後白河法皇日録』 学藝書院 2012?

 まだ「読んだもの」ではないのだが、心覚えに記事を書いておきたい。先月、センチュリーミュージアムの『日本の書相』を見に行ったとき、上の階の展示室の机に、ひっそり積まれたパンフレットが目にとまった。2010年に85歳で亡くなられた古筆学の碩学小松茂美の「遺稿刊行」と冠せられた本書のパンフレットだった。

 裏面の宣伝文句にいう。『後白河法皇日録』は、後白河法皇六十六年の生涯の日々の記録である。これは想像や主観で書かれたものではない。可能な限りの記録の証言を集め、立体的に組み立てられたものである。……

 その成果は、内側見開きの本文組見本を見れば、一目瞭然だ。本文は、玉葉など典拠とした史料原文の趣きを損なわない程度の書き下し文であるが、「中宮付の半物(はしたもの)(下仕女)が群居」のように、読みにくいところにはルビを付し、最低限の語釈も付記されている。おそらく原文では官職しか書かれていないところも、「右大臣藤原兼実(28)」のように本名と年齢が記されていて、これなら、史料読みの素人である私にも読める!と心が躍った。

 著者は「年齢がわかれば情景が目の前に浮かんでくる、芝居の舞台のように」と自負していたというが、後白河法皇六十六年の生涯をいろどる数多の人物、人名事典にも採られていないような人物たちに、ひとりひとり、こうした作業を施していくのは、気の遠くなるような根気を要する作業だと思う。同時に、いまの時代、振り返る人の少なくなった学問の甘美さを感じさせる。

 この仕事を成し遂げられずに死ぬ自分を夢に見て、「最期にこれほど夢中になれるものに出会えて、本当に幸せであった」と語る著者の思い出を語り、「小松先生がそれほどまでに執心された後白河法皇の魅力とはなんであったのか。天衣無縫、常軌を逸する器量の大きさであった、ともいえるだろうか」と語る補訂者・前田多美子氏の「まえがき」が引用されている。今年は大河ドラマの影響で、「ファンキー後白河」「ごっしー」を認知した若者が増えていることを知ったら、小松先生、どんな顔をなさるだろうか。

 なお、センチュリーミュージアムでは「1階受付でご注文承ります」みたいな案内もされていたが、どこの書店でも買えるだろうと思って、パンフレットだけ貰って帰ってきた。そうしたら、現時点では、NACSIS WebcatにもAmazon.comにも情報がないので、未刊なのかな、と思ってる。今日、この話を友人にメールで伝えたら、今朝の朝日新聞に本書の記事が載っていた、と教えてくれた。

 定価28,350円(税込み、二分冊)。ISBN:978-4-904524-05-3。図書館にもリクエストを出すつもりだが、自分で買えないほどの値段ではないなあ。この時代、好きなので、個人で買ってしまうかも。

※7/4訂正。タイトルの「日録」を「目録」と書いてUPしてました。すみません…。