古田織部を主人公にしたマンガがあるということには、第1巻の刊行当時から気がついていたのに、そのうち読もうと思っているうち、5年が立ってしまった(年寄りの感慨…)。今年の正月休みにまとめて読もうと思い立ち、書店に行ったら、11巻も出ていて慌てた。直接の動機は、この春からNHKでアニメ放映決定(→公式サイト)と聞いたためだが、よく調べたら、BSプレミアムじゃないか…見られない。マンガのほうは、もっと真面目な歴史モノかと思っていたので、はじめはギャグパートや、歴史の粉飾に戸惑った。3巻くらいまでは、なかなかノリについていけなかったが、馴染んでくると、やめられなくなって、一気に読み通してしまった。
古田織部って、茶人・芸術家であると同時に、いっぱしの戦国武将だったんだなあ、というのは、あらためて教えられた。信長、秀吉、家康、光秀など、おなじみの武将たちが、おなじみの戦国ドラマを展開する中、彼らの隣人として、ときには戦場に生命をさらしながら、織部は生きていたのである。
Wikiによれば、雑誌欄外のあらすじには、「これは『出世』と『物』、2つの【欲】の間で日々葛藤と悶絶を繰り返す戦国武将【古田織部】の物語である」と紹介されているそうだが、「武人の生き方」と「数寄者の生き方」の葛藤と言い換えることもできそうだ。そして、教科書的な歴史はあまり触れないことだが、戦国武将の大半は、この2つの人生の間で、ある者は悩み、ある者はバランスよく生きていたのではないかと思う。と、ここまで書いて思ったのは、いまのサラリーマンに「公(仕事)」と「私(趣味)」の2つの【欲】があることと、あまり変わらないかもしれない。私も、それなりの社会人人生の脇で、こうして読書と展覧会通いの欲を捨て切れずにいる。
楽しいのは、同時代の芸術家たちが、次々に登場し、織部ら戦国武将たちと絡んで活躍することだ。戦国武将を主人公とする普通の歴史小説では、こうはいかない。登場してもチョイ役だろう。前半(織部の壮年期)には、千利休(宗易)、長次郎、長谷川等伯らが登場し、そろそろ中年を過ぎた現在は、岩佐又兵衛、本阿弥光悦が登場している。あ~なるほど、彼らの「世代差」って、こんな感じなのか、と実感する。織部、又兵衛、光悦が、便船を求めて朝鮮に渡るという10~11巻のエピソードには、荒唐無稽さに苦笑しながら、ひそかに快哉を叫んでしまった。続巻も楽しみである。