見もの・読みもの日記

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小さないのち/花卉草蟲(高麗美術館)

高麗美術館 2011年特別企画展Ⅰ『花卉草蟲(かき そうちゅう)-花と虫で綴る朝鮮美術展』(2011年7月16日~8月28日)

 朝鮮・中国・日本の絵画を正しく弁別することは、専門家にも難しい作業らしい。素人の勝手な思い込みで、私が「あ、これは朝鮮絵画だ」と感じるイメージは、いくつかある。着色の花卉草虫図はそのひとつ。花や虫のひとつひとつは写実的なのに、全体としては、空想的というか、装飾的な雰囲気のただよう花鳥画だ(17世紀オランダの植物画に似ているかも)。

 これも、中国・江蘇省常州(毗陵)で制作された「常州草虫画」の影響があるそうだが、朝鮮絵画では、むやみに虫(蝶・蜻蛉・蜂・蟋蟀など)が多く、花に比べて大きく描かれ過ぎている気がする。しかも図録の拡大写真を見ると、カエルやトカゲ(これらも虫の一類)はもちろん、微小なコオロギまでが、なんとも人間くさい表情をしていて、愛されていたんだな、ということが分かる。

 「秋草文」の白磁は、ひととき猛暑を忘れる涼やかさ。2階の常設展示室も、さりげなく夏向きのしつらえになっていて、楽しかった。

 この夏は、京博の特別展観『百獣の楽園』でも、虫やカエルの生き生きとした姿を見ることができるが、小さな生きもの好きの方は、こちらにもまわってみてはどうだろう。特に、京博の『黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵卓』(琉球、17世紀)と本展の『黒漆塗螺鈿葡萄栗鼠文函』(朝鮮時代)などは、頭の中で並べてみると、おもしろい。