見もの・読みもの日記

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大展示室リニューアル/名品展I(日本民藝館)

日本民藝館 特別展『日本民藝館改修記念 名品展I-朝鮮陶磁・木喰仏・沖縄染織などを一堂に』(2021年4月4日~6月27日)

 同館は、昨年度、通年で展覧会のスケジュールが公開されていたが、春先のコロナ禍でいろいろ変更されたあと、突然「創設80周年記念事業として、大展示室等の改修工事」を行うことが発表され、11月末から休館に入ってしまった。そして4か月ぶりの再開館である。改修と言っても、あの建物が、そんなに大きく変わるはずはないだろうと思っていたら、SNSに改修後の大展示室の写真が流れてきて驚いた。けっこう雰囲気が変わっていたからだ。

 今年度は、改修記念の名品展が2期連続で企画されている。第1期は朝鮮陶磁・木喰仏・沖縄染織など、古作の逸品を一挙公開とのこと。玄関を入る前に、小さな窓口でチケットを購入し、ビニールの靴カバーをいただく方式は昨年度と同じ。玄関ホールも特に変わったところはないが、まずは、2階の大展示室に直行する。すると、おお!板張りだった床が石敷きになっている。建物の中なのに、突然、屋外に出たかのよう。明るい(明るすぎない)白色に黒い斑点が散っている素材は、栃木県産の大谷石とのこと。長方形の石の枠線がつくる網目模様が美しい。向かって右側の壁は、全体が大きな展示ケースになった。入口左にあったスタッフの常駐席がなくなっていたので、あれ?無人にしたのかしら?と思ったが、よく見たら、右側の展示ケースの物陰にスタッフの常駐スペースができていた(居心地よさそう)。

改修後の大展示室(インターネットミュージアム 2021/4/13)

改修前の大展示室(Hills Club 2016/11)

 大展示室では「陶磁器の美」を特集。ざっくり「日本」「高麗・朝鮮」「中国」という仕分けで、さまざまな陶磁器が並ぶ。初期伊万里の染付山水盤や朝鮮の染付(魚を咥えた鴨?)など、大型の作品は、なんとなく見覚えがあったが、小品は記憶にないものが多かった。饅頭(マントウ)みたいな白磁の水滴(?)は初めてのような気がしたが、印象に残った。あと中国の古染付の蓮池釣人図鉢。完全な素朴絵タッチで、人より大きい蓮が愉快。

 陶磁器の間には、泥絵やポルトガルの聖人板絵、そして大好きな開通褒斜道刻石の拓本も。対幅が離して掛けてあってので、はじめ、片方しか出てないの?と戸惑ったが、ちゃんと両方あった。展示室の中央には椅子とテーブルがしつらえてあり(展示なので座れない)、テーブルの上にはスリップウェアなど西洋の古陶。ここだけ写真撮影OKだった。

 ほか各室は、柳宗悦の著作のタイトルにちなんで「木喰上人の彫刻」「朝鮮とその藝術」「初期大津絵」「美の法門」「琉球の富」などの構成。「木喰上人の彫刻」には木喰仏だけでなく、さまざまな時代と地域の聖なる造形(ヨーロッパやアフリカまで)が集められていて、どれも似たトーン(柳の考える美の基準)で統一されているのが興味深かった。「初期大津絵」の部屋には『つきしま絵巻』と『うらしま絵巻』がちゃんと出ていた。

 2階の階段裏のコーナーでは、日本民藝館の設立経緯を紹介するビデオが流れていて、作品は直下(じきげ)の心で見なければいけないと考える柳が、黒い板に朱書という、独特の展示札を生み出したことが語られていて面白かった。