○名古屋市博物館 仁王像修復記念『甚目寺観音展』(2011年7月16日~8月28日)
週末は、祇園祭とあわせて、大阪→京都→奈良→名古屋をまわってきたので、遡及的に記録を起こしていく。まず、名古屋から。私と逆まわりの関西周遊に出かけた友人から「面白かった」というメールが入ったので、急遽、予定変更して、最終日に寄ることにした。
甚目寺観音(鳳凰山甚目寺)は、愛知県あま市にある真言宗智山派の寺院。と聞いても、全然分からなかった。そもそも「じもくじ」が読めなかったし、2010年、平成の大合併で誕生した「あま市」がどこなのかも、他県の人間にはピンと来なかった(どうして郡名「海部」をひらがなに直すかな)。なので、会場入口のパネルを眺めて、まず地図上の位置を確認。なるほど、名古屋市の北西部に接しているのか。
甚目寺は、お伽草子「うばかわ」の舞台であり、一遍聖絵にも登場する古刹である。同寺所蔵の境内絵図、参詣曼陀羅、戦国武将の朱印状や書状が多数展示されていて、興味深かった。仁王像からは、福島正則の奉納を示す墨書が見つかっている。塔頭の光明寺は、豊臣秀吉が日吉丸と呼ばれた頃、修行を積んだ寺と言われているが、そのわりに関係する遺品は少ないそうだ。
ポスターの迫力ある仁王像2体も、会場で見ることができるが、本当の主役は、愛染明王坐像(鎌倉時代)だろう。憤怒像にしては品のある穏やかな表情で、福耳が目立つ。1996年のファイバースコープ調査によって、胎内に球形の納入品が確認されていたが、今回の解体修理で取り出したところ、容器の内側から、フィギュアのような超小型の愛染明王坐像(五指愛染と呼ぶそうだ)が発見された。か、かわいい…。市博物館のサイトの写真だと、カプセルの内側および像の表面は黄みがかった朱色だが、肉眼では、もう少し青みを帯びた紅色で、紺や緑の宝珠をつないだ瓔珞、線香花火を散らしたような袴の截金文様、蓮弁の桃色のグラデーションなど、芸が細かい(会場内パネルの拡大写真で確認)。修理完了後は、再び愛染明王坐像の胎内に収める予定なので、これを見られるのは「今だけ」だという。見に来て、よかった!
なお、ほぼ完成した像に間隙材を入れて、体躯に厚みを持たせ、ふくよかでゆったりした様子に変更されているというのも面白かった。
それと、めずらしかったのは、十王像+脱衣婆像。付属品として「業(ごう)の秤」があって、後ろ手に縛られた人間と山を、てんびん秤の左右に吊るしたものが供えられている。この造形が、思わず噴き出すくらい、オカシイ。
※愛知の霊場(個人ブログ):尾張四観音、いずれはまわってみたい。