見もの・読みもの日記

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涼を求めて幽霊画/2025幽霊画展(全生庵)

全生庵 『谷中圓朝まつり 幽霊画展』(2023年8月1日~8月31日)

 今年も谷中の全生庵に幽霊画展を見に行ってきた。展示作品は、毎年おなじみのものも、入れ替わるものもある。毎年見ているのに、新しい発見をすることもある。高橋月庵『海上幽霊図』は、嵐の海の上に巨大な黒い影がぼんやり浮かんでいて、幽霊というより妖怪だなと思っていたのだが、よく見ると波間に多数の遭難者なのか、その亡霊なのか、形の定かでない人影が漂っていた。渡辺省亭『幽女図』、鏑木清方『幽霊図』など、顔を見せない女性の幽霊(?)は、恐ろしくも魅力的。鰭崎英朋『蚊帳の前の幽霊』は、いつもながら美人さんだと思う。

 飯島光峨『幽霊図』は、性別も分からないほど痩せこけて、薄い髪をざんばらにし、お歯黒をつけた歯をむき出しにする、凄まじい女性の幽霊なのだが、見ていると、死期の近づいた母親を思い出した。老いの醜怪さを画家は残酷に描いているが、特に他人への恨みや妄執はなさそうで、どこか懐かしさを感じなくもない。

 谷文一『燭台と幽霊』は、光と闇のあわいにふっと半身だけ浮かび出てきた幽霊の姿。左半身と胸から下は、まだ異世界に残したままの風情で、骨だけのような右手を燭台の下に添える。中村芳中枕元の幽霊』は、うまく言えないが、まがまがしくて怖い。西洋の妖怪みたいな感じ。高橋由一の『幽冥無実之図』は、和装の女性の背後に洋装の男性がぼんやり描かれているのだが、何か意味を込めた幽霊画なのだろうか?

 なお、怖い浮世絵でおなじみ、小幡(こはだ)小平次の説明に『復讐奇談安積沼』が取り上げられていたが、これが山東京伝の作だと初めて認識する。京伝先生、黄表紙や洒落本だけでなく、読本(伝奇小説)も手掛けていらしたのか!

 最期に参観受付で、さりげなく髑髏をプリントしたTシャツの紺を購入。昨年、紺が売り切れていて白を購入したので、1年越しで二色揃った。と思ったら、新色のグレーも出ていたので、また来年も買いに来よう。