見もの・読みもの日記

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“REALIVE” an ICE STORY project, ディレイビューイング

〇「Yuzuru Hanyu “REALIVE” an ICE STORY project」ディレイビューイング(2026年4月14日18:30~、TOHOシネマズ日本橋)

 4月11日と12日、利府のセキスイハイムスーパーアリーナで行われた羽生結弦くんの公演(2日目の録画)をディレイビューイングで見てきた。この公演の情報が初めて流れたのは今年1月。私は3月末と4月初めで白内障手術の日程を調整したあとで、3月のアイスショーnotte stellata は慎重に避けたのだが、こっちは完全にバッティングしてしまい、チケット争奪戦への参加をあきらめるしかなかった。しかし、幸い、ディレイビューイングが組まれていたので見てきた。まだメガネを作り直せていないので、視力が十分ではないのだが、前から3列目のほぼ中央という良席だったので全く問題なし。

 SNSに流れてくる情報はあまり見ないようにしていたが、第1部「REALIVE」は、これまでのプログラムの再演(Megalovania、Mass Destruction、Otonal、鶏と蛇と豚、あの夏へ、Utai、そしてSEIMEI)、第2部「Prequel : Before the WHITE」は、羽生くんが出ずっぱりで演劇的な構成を演じるらしい、ということくらいは頭に入れて見に行った。まあ正解だったのではないかと思う。情報ゼロでこれを見に行ったら、第1部は1曲1曲に過剰反応して消耗してしまっただろうし、第2部は独創的すぎてポカ~ンとなってしまったかもしれない。

 とは言っても、多少の事前情報など消し飛んでしまうくらい、心を揺さぶられる衝撃の連続だった。1曲目の「Megalovania」は、何度も何度も、スケート靴のブレードを氷に突き立てる荒々しい音の反響から始まる。あれは録画の効果なのか、現地会場でもあんなに大きな音で聞こえていたのだろうか。激情的なゲーム音楽2曲を滑ったあとの、ピアノ曲「Otonal(秋によせて)」も嬉しかった。私はアイスショー観戦からフィギュアスケートに近づき、次に競技用のプログラムも見たくなり、初めて試合を観戦したのが2019年のNHK杯(札幌)で、そのとき羽生くんが滑っていたのが「Otonal」だったのである。当時の衣装で当時のプログラムを滑ると、彼の体型が大きく変化している(よい意味で)ことが、はっきり分かって感慨深かった。競技を離れて、今は自分の滑りたいプログラムのための身体をつくっているのではないかと思う。

 「Utai」は Echoes of Life の中でも特に印象深かったプログラム。透きとおった金色の衣装は袖と裾がつながっていて、腕の動きにつられて、蝶の羽根が開いたり閉じたりするように、長い裾が翻るのである(MANSAIボレロの衣装に通じるものがある)。そして、この衣装で「SEIMEI」が始まったときは(聞いてはいたが)度肝を抜かれてしまった。そのラスボス感、安倍晴明というより芦屋道満じゃないかと思って、こっそり笑っていた。

 第1部の所要時間は1時間くらい。プログラムの合間には、羽生くんの過去の映像をコラージュ的に流したり、RE_PRAY で見たドット絵のほのぼのキャラクターが登場したりするのだが、衣装替えなど最小限の時間を除き、ほぼほぼリンク上で演技し続けている印象だった。

 第2部。砂漠のベドウィンのような、裾の長い、ゆったりした衣装で氷上に登場した羽生くんと、リンク中央に吊り下げられた8面モニター(歌舞伎や文楽で見る八方行灯みたい)に映し出される四頭身くらいのキャラクター(羽生くんの分身?)によって、静かに物語らしきものが進行していく。途中、モニターから幾筋かの白い布が垂れ下がると、氷上の羽生くん自身が、布の端を各方向のリンクサイドに設置し、白い帯の下を潜ったり、飛び越えたりしながら、リンクを周回してみせる。最後のほうでは、印を結ぶような手つきをしていたと思う。モニターにも神社の鳥居や参道のような風景が映っており、羽生くん、特に宗教というわけではなく、日本人の伝統的な信仰観に共鳴するところがあるのかなと思った。

 この第2部は、新しいICE STORY「White...」のPrequel(前日譚)の位置づけなのだという(第2部終了後にマイクを持って登場した羽生くんが「Whiteなんちゃら」と呼んでいて笑った)。まだ公演の詳細は明らかにされていないけど、今度こそ現地観戦できたらよいなあ。