見もの・読みもの日記

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レジェンドドラマ・2003年版『射鵰英雄伝』上映を見る

〇ドラマ2003年版『射鵰英雄伝』第1話~第3話(新文芸座)

 肖戦主演『射鵰英雄伝:侠之大者』(2025年)の日本公開を記念して、2003年版ドラマの第1話~3話を映画館で上映するという、1回限りの企画の話を聞いて見てきた。客席は4~5割の入りだったけれど、最後に拍手が起きたりして、私のほかにもこの作品が好きな人がいるんだなあと嬉しく思った。

 2003年版または張P版と呼ばれるドラマ『射鵰英雄伝』は、金庸の武侠小説を次々にドラマ化していた張紀中氏がプロデューサーをつとめた作品。中華圏で爆発的なヒットとなっただけでなく、日本にも輸入されて多くのファンを獲得した。私は、当時、スカパー(専用アンテナを立てる方式)でCCTV大富を契約し、CCTV(中国中央電視台)の衛星放送をリアルタイムで視聴することを始めていた。そこで出会ったのがこの作品で、物語の時代背景も、武侠というジャンルの約束事もよく分からないまま、とにかく面白さに魅了されてしまったのである。

 今回、久しぶりに第1話~3話を見たら、異民族王朝・金の侵攻に対して、宋の皇帝は全く無力、役人たちは裏で金に通じ、ただ民間(江湖)の義士たちが抵抗を続けていた状況が、はじめにきちんと説明されていた(むかしは知識が乏しくて、よく分からなかった)。序盤、ほぼ無双の強さを見せつけるのが全真教の道士・丘処機。第2話には早くも江南七怪が登場。毎回、常人を超えた武功の達人たちによるド派手な立ち回り(アクション)を見ることができて楽しい。第3話は舞台がモンゴルの草原地帯に移る。モンゴル族の騎馬隊のアクションも贅沢で素晴らしい。ジェベ(告別)!最初はチンギス・ハンに敵対する役柄だったのか!演じている巴音さん、若い!

 2003年版は、完顔洪烈と包惜弱も好きなのである。命を助けてもらった包惜弱に懸命に尽くすけれど報われない、金の王族・完顔洪烈の健気なこと。包惜弱の何晴さんは、品のある古典的な美人(昨年12月に訃報を聞いた)。惜弱の名前のとおり、困っている人を助けずにいられない博愛主義者だったことが、その後の運命を変えてしまう。そして、金の王家で甘やかされ放題に育った結果、性格がひねくれていく楊康も悲劇の人であり、楊康の成長を助けると自ら宣言してしまった丘処機も、不運に巻き込まれていく。後半の展開を知っていると、序盤の作劇がほんとに巧い。

 第3話までだと、まだ東邪西毒も登場しないし、そもそも主役も本役(郭靖=李亜鵬、黄容=周迅)になっていないのだが、オープニング、エンディングにチラチラ映る登場人物を見ているだけでも懐かしくて、続きが見たくてたまらなくなっている。この物語、「権力者の責任とは」「戦いの大義とは」みたいなテーマを強く打ち出したバージョンもあるのだが、2003年版は、そのへんあまり深刻ぶらないところも私の好みなのである。