見もの・読みもの日記

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飲み食べるうつわ/茶道具取合せ展(五島美術館)

五島美術館 館蔵『茶道具取合せ展』(2025年12月16日~2026年2月11日)

 毎年この時期に開催される同館の館蔵・茶道具取合せ展。最後に見たのが2023年だから、3年ぶりに見に行った。冒頭の単立ケースに展示されていたのは、『井戸茶碗(美濃)』と『粉引酢次茶碗(呉竹)』。前者は標準的な茶碗より、高台が細くて高い感じがした。後者は歪みが大きくて、見る角度によって印象が大きく変わる。どちらも渋い。

 壁に沿った展示ケースは書跡の軸から始まっていた。武野紹鴎の消息は、墨の濃淡が明快かつリズミカルで気持ちいい。隣りは豊臣秀吉のお祢宛の消息。紹鷗の筆跡が左へ傾く癖があるのに対して、秀吉は右に傾いていた。さらに利休、千道安などの書跡が続く。この茶道具取合せ展は、茶室「古経楼」「松寿庵」「冨士見亭」の床の間原寸大模型が、展示ケース内に設置されているのが見どころのひとつで、本阿弥光悦の消息は、富士見亭の床の間に掛けられていた。

 続いて、火箸・釜敷・五徳など、さまざまな道具を経て、小鉢・平鉢などの食器類が並ぶ。伊賀沓形小鉢は植木鉢みたいにゴツくて大きい。何だろう、香のものでも入れたら合うだろうか。鼠志野鉢(わりと浅め)には洋風スイーツを載せてみたい、緑の織部には黄色い卵焼きなど、料理の取合せを想像しながら眺めた。酒器も、黄瀬戸の盃なら濁り酒が飲みたいし、赤絵金襴手には辛口の大吟醸が合うと思う。

 原寸大模型の2つめ、古経楼の床の間には、定家の『反古懐紙』(定家が後鳥羽院の歌会に提出するために推敲した下書きと思われている)を掛け、『古備前筒花生』を置く。古備前の花生には、おそらく真上からスポットライトが当たっていたと思うが、花は活けてなくても完全に主役の存在感があった。よく見ると、半身だけ赤が強くて、色変わりになっているのもカッコ良かった。

 最後の松寿庵の床の間には、伝・徽宗筆『鴨図』を掛け、『青磁鳳凰耳花生』を置く。ただ、ちょっと青磁へのスポットライトが強すぎて興をそがれる感じがした。中国ものでは『青磁桃型香合』(明~清時代)が印象に残った。香合としてはかなり大きく、柔らかい緑の色合いが好ましい。

 第2展示室は「茶の湯の漆芸」で、鎌倉時代の二月練行衆盤から、昭和の漆芸までが出ていた。昭和時代・渡辺喜三郎作の小吸物椀は、小さな蓋つきのお椀。自分の日常使いに1つだけ欲しくなった。