見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2025年9月金沢散歩:石川県立歴史博物館など

 2泊3日の金沢出張に行ってきた。最初の2日間は仕事、後泊をつけてもらえたので、土曜日はひとりでぶらぶら散歩してきた。

石川県立歴史博物館 令和7年度秋季特別展『花開く九谷-19世紀加賀藩のやきもの生産ブーム-』(2025年9月27日~11月9日)

 まず、この日から始まった特別展を参観。江戸時代前期から中期にかけて、日本列島における陶磁器の生産は限られた地域にとどまっていた(九谷古窯はこの時期)。江戸時代後期には、技術の広がりや諸藩の産業振興策の影響により列島各地で数多くの窯が成立し、加賀藩や支藩の富山藩・大聖寺藩でも多くの窯が築かれる。本展は、江戸時代後期の加賀・能登での陶磁器生産の実態を明らかする。

 加賀!九谷!やきもの!と聞いて、もっと華やかな展示をイメージしていたのだが、歴史博物館らしく、出土資料の陶器片や古文書資料多めの地味な展示だった。しかし、いろいろ学びがあって、私には面白かった。19世紀の陶磁器生産の復興には、青木木米が大きな役割を果たしているのだな。木米を招いたのは、金沢の町年寄だった宮武屋・亀田純蔵。しかし加賀のやきものらしい(と私が思う)赤絵金彩が登場するのはずっと先の話。吉田屋窯の青手は、古九谷に比べると小ぶりだし、芸術的なインパクトが弱いと思っていたが、今回、これはこれで親しみやすいよさがあると感じた。↓これは、小松の陶工・粟生屋源右衛門の作。

 久しぶりの常設展示も楽しかった。「祭礼体感シアター」では、七尾市中島町の「お熊甲祭り」と輪島市名舟町の「御陣乗太鼓」と見たがどちらもすごかった。ぜひいつか、全プログラムを体験してみたい。

泉鏡花記念館(金沢市下新町)

 もう1か所、ぜひ行きたかったのが泉鏡花記念館。2024年2月に一度、訪ねる機会があったのだが、元旦の能登半島地震の影響で閉館していたのだ。今度こそ!と思ったのだが、行ってみたら、展示替え期間で休館中だった。ええ~私、鏡花先生に嫌われているのだろうか。悲しい。

 ちなみに、地獄極楽絵図で有名な円照寺さん、毎年、春と秋のお彼岸の時期に地獄極楽絵図を公開すると聞いていたので、もしや?と調べたら、9月20~21、23日の公開のみでもう終わっていた。残念。

尾山神社(金沢市尾山町)

 ということで、また歩いて、近江町市場~香林坊方面に戻る。金沢に出張に来るたびに、バスの中から眺めて気になっていた尾山神社に参拝。前田利家公(と現在はお松の方)を祀る。異色の「神門」は明治8年(1875)の建築で、和漢洋の三様式を混用している。設計者は、金沢の大工棟梁・津田吉之助とのこと。

 さらに歩いて、長町武家屋敷跡エリアを散歩。(奈良を思わせる)黄色い土塀が続き、犀川を水源とする大野庄用水が豊かな水を湛えて流れている。

前田土佐守家資料館 令和7年度夏季企画展『江戸時代金沢の出版-本をめぐるいろいろ』(2025年7月12日~9月28日)

 ふと通りかかった資料館が面白そうだったので入ってみた。前田土佐守家とは、加賀藩祖前田利家の次男・利政を家祖とする、加賀藩重臣の家系だという(知らなかった)。常設展エリアでは、テーマ展「知行と禄」が開催されていて、江戸時代の身分制の実態がよく分かっていない私には大変おもしろかった。

 さらに2階展示室では、江戸時代の金沢における出版文化の様相を通して加賀藩文化の諸相を紹介する企画展を開催中。↓天和元年(1681)刊の句集『加賀染』。金沢の本屋が刊行にかかわったことが確認できる最初の出版物とのこと。一見、手書きのようだが木版なのだな。

 文化14年(1817)刊『韓非子解詁全書』。松浦善助、八尾屋喜兵衛、塩屋与三兵衛は江戸時代後期の金沢の代表的な本屋。

  天保7年(1836)刊『渡海標的』(航海測量術の書)。江戸の須原屋茂兵衛、名古屋の永楽屋東四郎など各地の本屋との相板(共同出版)。今年の大河ドラマのおかげで、こうした出版・流通のしくみが少し身近になった感じがしてうれしい。

 最後に金沢で食べたもの。金沢駅ショッピングモール内の「加賀白山そば」の能登牛コロッケそば。けっこう濃いめの味付け。

 近江町いちば館「鮮彩えにし」のバラちらし丼。仕事の合間のランチなんだけど、せっかくの近江町市場なので張り込んでみた。ごちそうさまでした。

 また金沢を訪ねる機会がありますように。いや、機会は自分で作ろう。